日立製作所は10月1日、IPv4アドレスのプライベート/グローバルの双方向変換、TCP/UDPのポート変換、セッション管理などの機能を搭載した、日立ギガビットルータ用の「日立アドレス変換機能カード」を10月5日から販売開始することを発表した。
日立アドレス変換機能カードは、2011年初頭にも、新規ユーザーに割り当てられるIPv4グローバルアドレスが日本国内で枯渇するとされる事態に対応した製品。通信事業者やISPは、日立アドレス変換機能カードを活用することでIPv6への完全移行までの間、アドレス不足を気にせずに、既設のルータを使いながらIPv4接続サービスを提供することができるとしている。
日立はIPv4グローバルアドレス不足対策として総務省から委託された研究開発の成果を活用して、日立アドレス変換機能カードを製品化した。通信事業者やISP向けの大規模ネットワークに対応したアドレス変換規格「Large Scale NAT」(LSN)に準拠している。
日立アドレス変換機能カードは、動的NAT/NAPT方式でIPv4アドレスのプライベート/グローバルの双方向変換、TCP/UDPのポート変換、セッション管理などの機能を搭載している。NAPT(Network Address Port Translation)はTCP/UDPのポート番号の変換を伴うアドレス変換。同時接続数は1800万セッションまで対応する。
ルータ本体を2台設置して冗長化する場合でも、ルータ間でアドレス変換のセッション情報を同期させることで、送信と受信で経路が異なっても問題なくアドレス変換ができるとしている。ルーティングプロトコルと連携して、障害時でも素速い経路の切り替えが可能であり、切り替え先もアドレス変換のセッション情報を同期することで、アドレス変換機能を維持するという。
日立アドレス変換機能カードは、日立ギガビットルータに実装可能、同ルータのネットワークインターフェース機構用スロットに実装することで、アドレス変換機能を利用できる。日立では、アドレス変換機能を搭載できる製品を順次増やしていくとしている。
日立アドレス変換機能カードの出荷開始は2010年3月26日、価格は個別見積となっている。
IPv4グローバルアドレスの枯渇が予測される事態への対応策としては、IPv6への移行が有効とされている。だが、通信事業者やISPなどのサービス事業者ではルータなどネットワーク設備のIPv6化が必要であり、エンドユーザー側でもブロードバンドルータの置き換えが必要であることから、完全移行には数年かかると見られている。IPv6への完全移行までは、IPv4グローバルアドレスが不足した状況でのネットワーク接続が求められるとされている。