米国時間10月5日、Los Angeles Convention Center(LACC)で「Adobe MAX 2009」の基調講演が行われ、カンファレンスイベントが本格的に開幕した。
ツールベンダーから「プラットフォームベンダー」への転換を表明して久しいAdobe Systems(アドビ)が、自社の持つ、ツール、技術、サービスを「Adobe Flash Platform」の名のもとに再構築し、あらゆる機器で閲覧可能なコンテンツとアプリケーションの配信技術、制作・開発環境を提供するために続けている研究開発の成果を披露する場となっている。
基調講演の会場となったNokia Theatreには、早朝より多くの聴講者が詰めかけた。
登壇した、Adobe Systems CEO兼プレジデントのShantanu Narayan氏は冒頭、「アドビは、世界がアイデアや情報とかかわる方法を革新し続けてきた」と力強く語り、「通常のコンテンツを“コンテンツ+アプリケーション”へ、制作を“制作+最適化(オプティマイゼーション)”」という言葉で、同社がリッチインターネットアプリケーション(RIA)の分野で付加価値を提供し続けてきたことを説明した。
「制作+最適化」の分野では、アドビが9月に買収を発表したウェブ解析サービスベンダーであるOmnitureが、今後果たしていく役割も大きい。Narayan氏に続いて登場したCTOのKevin Lynch氏は、まずOmniture CEOのJosh James氏を紹介。James氏は、コンテンツの「制作」と「配信」に続く「解析」と「最適化」を専門とする同社の技術とアドビの技術が融合することによって、来訪者や履歴をベースとしたコンテンツ改善のライフサイクルが成立する点を説明し、買収の意義を強調した。
Adobe Flash Platformアップデート
続いてLynch氏は、アドビの持つコンテンツおよびアプリケーションの開発配信環境についてのアップデートを行った。「ツール」「フレームワーク」「サーバ」「サービス」「クライアント」の各カテゴリで役割を担うアドビ製品を、今後リリース予定のものを含め、ポートフォリオとして示し、Flash技術と特に密接にかかわる部分を最新の「Adobe Flash Platform」として紹介した。
Flash Platformの「ツール」のカテゴリには、現在開発中の製品が2つ含まれる。従来のタイムラインをベースにしたアニメーションクリエイター向け「Flash Professional」に加えて、ソースコード開発者向けの「Flash Builder」(旧Flex Builder)、PhotoshopやIllustratorといったツールと密接に連携した開発作業を可能にする「Adobe Flash Catalyst」という製品が、そろってセカンドベータにアップデートされた。これらのツールがすべて出そろうことで、Flashコンテンツの開発者は、開発作業の体制や自分の好みに併せて、最もふさわしいツールを選ぶことが可能になる。
Open Screen Projectの核となる「Flash Player 10.1」
クライアントの実行環境となる2つの技術についても重要なアップデートが行われた。