「Linuxの公開カーネルの規模は、2009年8月現在で総ファイル数が2万7911個、ソースコードの総ラインは1156万971行に至った。昨年1年間に追加されたコードの数は270万行』。カーネル2.6.24以降、1日に追加されたコードは1万923行。バグフィクスするために1日に削除されたコードは平均5547行。同様に1日に変更されたコードは平均2243行にも上る」(Zemlin氏)
また、「88.6%という数字は、スーパーコンピューティング分野でのLinuxの利用率だ。ディストリビューションは299件、スマートフォンへの採用率は50%以上に増加した」とZemlin氏は述べ、次々にLinuxのレコードを示していく。
では「600」とはなにか?――これはLinuxCon 2009の参加者数だ。
米国の地方都市であるポートランドで開催された第1回目の会議に、世界中から600人の参加者が駆けつけたことになる。そこには、第1回の「LinuxCon」開催への注目度がうかがえる。
「Linuxのすべてに関する連携および知識習得の場を提供する」と銘打ったこの新たなカンファレンスの最大の特徴は、その領域にある。
開発に関する議論が中心だったこれまでのLinuxカンファレンスとは一線を画し、対象をエンタープライズ領域にまで拡大した。開発者からビジネス、オペレーションに至るカーネルに関係するすべての領域の人々が集まる「オールLinux」の会議は、主催するLinux Foundationとしても初めての試みとなった。
プログラムは大きく「Business」「Developer」「Operations」の3つのセッションにカテゴリ分けされ、それぞれのセッションにLinuxカーネルの主要開発者、アドミニストレーター、エンドユーザー、コミュニティマネージャー、業界エキスパートなど、Linuxコミュニティ選り抜きの精鋭たちが集結した。

「今回セッションを分類したのは、開発者からエンドユーザーまで、より多くの人に参加してほしいという思惑があった」からだと、Linux Foundationでビジネスデベロップメントマネジャーを務める小薗井康志氏は語る。
その背景には、最近になってカーネル開発者から、エンタープライズのビジネスエンドユーザーやエンベデッドユーザーの声を聞きたいという意見が増えているという流れが影響しているようだ。
「昨年ごろからの傾向として、James Bottomley氏やTed Ts'o氏といったトップメンテナたちがエンタープライズ領域に大きな関心を示し、開発者たちが自らの課題としてビジネスユースに取り組む姿勢を見せ始めている。これを反映して、昨年のカーネルサミットでは初めてビジネスエンドユーザーが招待された」(小薗井氏)