-
Windows 7は、Windows Vistaに比べるとよいOSではありますが、企業でWindows 7に移行する際に念頭に置いておくべきことが5つあります。
まず、Windows XPの使用は2012年までに終えるようにしましょう。MicrosoftはXPを2014年4月までサポートするとしていますが、通常ISVが過去のOSへの対応を終えるのはそれより早いものです。
2点目として、移行プロジェクトは今すぐにでも始めましょう。移行の計画やテストなどの時間も含めると、企業が新しいOSに移行するには1年から1年半はかかります。取りかかるのが遅くなると移行コストもかさみます。
3点目は、Windows 7 SP1が出るのを待ってからテストや実装を始めようと思わないこと。多くの企業がSP1まで待つと言いますが、特にVistaを導入していない企業は今すぐ始めるべきでしょう。
4点目は、Windows 7をスキップしようとは考えないことです。GartnerではWindows 7をWindows Vistaから「洗練させたOS」と見ており、このタイプのOSはスキップすべきでないと考えます。
最後の点は、予算を注意深く見積もること。Gartnerでは、XPから7への移行コストを1人あたり1035ドルから1930ドル、Vistaから7への移行コストを1人あたり339ドルから510ドルと試算しています。つまり、移行コストは企業によってさまざまなのです。
-
中堅・中小企業にとって、クライアントPCのセキュリティ管理は重要な課題です。Windows 7で導入された「BitLocker to Go」や「App Locker」は、OSのみでセキュリティを担保できるという点で運用管理負担の軽減が期待できます。
これらの機能を利用するにはSA契約付きのボリュームライセンス購入が条件となるEnterprise版以上が必要です。しかし、Microsoft Open LicenseやSelectといった中堅・中小企業でも利用できるボリュームライセンス体系を知らないユーザも少なくありません。
名称だけで判断せず、ニーズに合わせたエディション選択が大切です。単なるWindows XP、Windows Vista代替ではない形でのWindows7活用を中堅・中小企業も検討する価値があるのではと考えています。
-
あれだけ堂々とした失敗作であるWindows Vistaで気持ちよく大敗退を期したマイクロソフト。その同社が反省しましたとばかりにWindows 7をリリースした。前作が前作なだけに、Windows 7の評価は悪くないでしょう。
しかし、ITの流行ネタにつきあって大枚をはたくほど企業にゆとりはないはず。企業サイドは今こそ冷静に「Windows 7を導入して何が変わるのか?」を考えるべきです。
そして、企業に大きな影響を与えるITパートナーとして、マイクロソフトを迎えるかどうかも再考すべきです。
ITの所有から利用へという流れの中で、はたして所有することが本当に企業にとって有益なのでしょうか?クラウドという選択肢が登場した今だからこそ、改めて考えてみるべきだと思います。
-
2010年のクライアント環境は大きく変化する。言い方を変えれば、企業は金融危機、少子高齢化など、さまざまな課題を解決するためにできるだけ早い段階でクライアント環境を見直す必要がある。つまり一人ひとりの生産性を上げていくことが、企業の経営課題の中でも最も重要項目のひとつになる。
では、PCを使ってどのように生産効率を高めることができるのだろうか。たとえばビジネスモビリティは生産性を向上させるひとつの答えであり、近年デスクトップPCからノートPCへ移行する企業が増えている。ビジネスモビリティは移動時間を短縮して効率化を促すだけでなく、ビジネスのスピードを上げて企業の競争力強化につなげることができる。
確かにセキュリティの問題からPCの持ち出しを禁止している企業もある。しかし、改めて考えてみるとセキュリティの問題さえ解決できれば、ビジネスモビリティを推進する企業がさらに増えることが考えられる。
このような観点でWindows 7の機能をみると、仮想化との親和性を含め、ユーザーの生産性を上げるさまざまな機能、改良が施されている。外出先からでも、シームレスに情報を参照できるDirect Access、事業所間でユーザーの高い生産性をサポートするBranch Cacheなどである。また、ユーザーを守るうえでセキュリティに対してもUser Account Controlの改善や、AppLocker、BitLocker to Goなど十分に配慮しているとみることができる。
-
2004年8月にWindows XP SP2がリリースされて以来、Windows XPは世界中の企業・組織から信用されるOSとなりました。Windows XPは、企業が期待する互換性、セキュリティ、信頼性を兼ね備えており、その結果、今日に至るまで企業や政府関連機関のほとんどがデスクトップのスタンダードとしてWindows XPを採用しています。Windows Vistaが一般に利用可能になってから2年半がたった現在でさえ、Windows XPは商用PCの約80%に採用されている状況です。
しかし、企業のIT担当者にとって、現在のWindows XPの利用体制を揺るがし、しいては利用を止めざるを得えなくなる理由がいくつかあります。それは、
- 企業はこれまでどんどん古くなっていくITインフラをキープしてきたが、そろそろリフレッシュを迫られている。
- Windows XPのサポートは2014年に打ち切られ、新しいセキュリティアップグレードやパッチはリリースされなくなる予定であり、Windows XPへのダウングレード権も数年のうちになくなるため、Windows XPの利用に制限が出てくる。
- Windows 7のDirectAccess、BranchCache、BitLockerおよびBitLocker To Go、AppLocker、Federated searchなどの機能はビジネスにとって魅力的であり、Windows 7へのアップグレードを促す。
- クライアントの仮想化が進み、Windows 7への移行を促進する。
Windows 7は、マイクロソフトにとってこれまでで最も重要なOSのリリースと言っても過言ではありませんが、10月22日のリリースは比較的落ちついたものでした。しかし、Windows 7に対する消費者の圧倒的なポジティブなレビューが、すでに企業のIT担当者に影響を与え始めていることは間違いありません。
Windows Vistaの導入にあたっては、企業のIT担当者のほとんどが社員に対して押し売りしている気持ちになり、ほとんどの場合成功しませんでした。しかし、Windows 7ではそのようなことはもう起こらないでしょう。社員はすでにWindows 7が提供する高い生産性と、それがもたらす恩恵を認識しており、試用を希望しています。また、一般消費者としてのWindows 7の利用が進むと、同等のコンピュータ環境を職場でも期待するようになるでしょう。
Forresterが最近行ったアンケート調査では、企業の66%がWindows 7への移行を予定しており、そのほとんどが12〜18カ月以内の移行を検討していることが分かりました。
Windows 7は企業のIT環境を変えるか?:アナリスト編
ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)