弥生が、「弥生10シリーズ」を、12月4日から出荷すると発表した(関連記事:弥生、Windows 7に対応しサポートを強化した業務パッケージ「弥生10シリーズ」発表 )。
弥生の社長である岡本浩一郎氏は、昨年来、自ら量販店店頭に立って、顧客、店員との直接会話を通じて、要望を聞いてきた経緯がある。「弥生10シリーズは、かんたん、やさしい、あんしんを追求した製品」というのも、こうした声を集めた結果である。
「中小企業経営者のなかには、業務ソフトに興味を持っているが、操作が難しいのではないかという声が依然としてある。そのために導入に踏み出せていないというのが現状。一方、起業家の中には、会計処理の仕方がわからないという声がある。こうした人たちに、使ってもらえるソフトになっているのか、という点では改善の余地があったと反省している。新製品では、これらの声を反映した」(岡本氏)
パートナーと連携しながら、全国1424人の弥生インストラクターを配置。全国3438カ所の会計事務所で構成される弥生PAPによるサポート体制を構築する一方、ヘルプデスクの設置、各種セミナーの開催、無料でのサポート範囲の拡張などのほか、会計業務そのものを理解できるように、操作マニュアルに加えて、業務マニュアルを搭載。電子マニュアル化によって、弥生の操作方法の疑問に答えるだけでなく、仕訳の方法など会計処理に関する疑問にも答えられるようにした。
一方、新製品では、10月22日に発売されたWindows 7への対応を図るとともに「Compatible with Windows 7」ロゴを取得。「ロゴ取得は、単にWindows 7で動作するというのではなく、完全に対応するという意味」と、岡本氏は語る。
岡本氏が「完全対応」とするのは、Windows 7において安心して利用できる環境を整えている点があげられる。例えば、データのバックアップ中に誤ってPCの電源を切ってしまうと、データが破損する危険性がある。だが、Windows 7上で動作する弥生10シリーズでは、きちんとメッセージが出て、OSがシャットダウンしないように改良した。
こうした点への改良が、Compatible with Windows 7ロゴを取得した意味であり、弥生では、早い段階からCompatible with Windows 7の取得にこだわってきた理由だという。完全対応によって、より安心して使える環境を実現するというわけだ。
弥生10シリーズのうち、「弥生会計」「弥生販売」「やよいの青色申告」では、新たにオンラインアップデート機能を搭載している。インターネット経由で最新機能を追加したり、法令改正への対応、確定申告対応、最新の郵便番号辞書を利用することが可能になるというもので、同機能によって、ユーザーはより迅速に法令改正などにも対応できるようになる。
実は、この機能は、今年の新製品で搭載したからこそ、大きな意味がある。というのも、今年は「政権交代」という大きな節目を迎えているからだ。
民主党がマニフェストに盛り込んだ施策のなかで、企業の会計処理などに関連するものが少なくなく、例えば、その行方が注目されている扶養控除や配偶者特別控除の廃止といった法令改正は、会計処理にも大きく影響する。
もちろん自民党政権時代にも税制改正が行われ、その対応は業務ソフトメーカーにとっては重要な課題であった。だが、民主党への政権交代によって、それとは比べものにならないほど、ダイナミックな改正が見込まれる。税制や法制の改正が見えているからこそ、業務ソフトにおいて、オンラインアップデート機能が大きな威力を発揮するのだ。政権交代の今年、弥生10シリーズの切り札的な機能になるもしれない。