MS、次期「Project」「Visio」の姿を披露--SharePointとの連携が強固に

ZDNet Japan Staff

2009-11-09 21:49

 マイクロソフトは11月9日、2010年前半の発売が予定されている「Microsoft Project 2010」および「Microsoft Visio 2010」についての記者説明会を開催した。

 これまで、同社の看板ブランドである「Office」の名を冠したプロジェクト管理ツール、ドローイングツールとしてリリースされてきた両製品だが、次期の2010バージョンでは、製品名から「Office」の名称が外されることとなった。その理由について、マイクロソフト、インフォメーションワーカービジネス本部部長の吉村徹也氏は、Officeという名称にデスクトップツールのイメージが強くなりすぎたとする。

 次期バージョンのProject、Visioは、よりバックエンドのSharePoint Serverやデータベースとの連携が強まる。つまり、同社が提唱するサーバ、サービス、デスクトップアプリケーションの組み合わせによる業務環境「Office System」を構成するコンポーネントのひとつとして、より重要な位置づけが与えられるというわけだ。

 従来からのユーザーに分かりやすい変更点としては、両製品ともOfficeシリーズ共通の「リボンUI」が採用され、Office系アプリケーション統一のコンテンツ管理ツールである「バックステージ」への対応が行われる。

 また、両製品に共通した最新バージョンでのポイントは、「SharePoint Server」との連携が強化され、より企業内でのコラボレーションを前提としたツールとなっている点だ。それと合わせ、「Web Apps」の形で、ウェブブラウザからのドキュメントの編集、閲覧機能が強化され、マネージャーは単体のアプリケーションを利用してドキュメントを作成、スタッフはそのドキュメントをブラウザで閲覧、修正を行うといった使い分けが可能になっている。

 Projectにおいては、従来、企業向けのプロジェクト可視化製品として別売されていた「Office Project Server」が、ポートフォリオマネジメントの機能を取り込んだ形で「SharePoint Server」に統合される。これにより、エンタープライズ規模での複数プロジェクトの管理、およびポートフォリオ管理が可能になるという。

Project 2010 次期「Project 2010」には、リボンUIが採用される。この画面ではInternet Explorer上でドキュメントが編集されている点にも注目。

 マイクロソフト、インフォメーションワーカービジネス本部エグゼクティブプロダクトマネージャーの相場宏二氏によれば、企業経営者、プロジェクトマネジメントオフィス、プロジェクトマネージャー、チームメンバー間で、プロジェクトの遂行に際して発生する情報フローの「ハブ」となるシステムが、次期ProjectおよびSharePoint Serverの組み合わせで実現するという。

 新たに統合されるポートフォリオ管理機能は、2005年12月にMicrosoftが買収したUMTの製品を強化したもの。プロジェクトマネージャーによる新規プロジェクト起案から、経営者による実施プロジェクトの選択および予算配分シミュレーション、実施が決定したプロジェクトの進捗管理までを統合的に行える。相場氏は「プロジェクト実施における不明確な予算配分ポリシーやプロセスを排し、投資の最適化と再配分を実現する仕組み」であると説明する。SharePointと連携することで、これらの作業の大部分は、ウェブブラウザ上から行うことも可能となっている。

ポートフォリオ管理 Project 2010とSharePoint Server 2010の組み合わせによって、ポートフォリオ管理を含むエンタープライズ規模でのプロジェクトマネジメントが可能になるという。

 一方の「Visio」は、UIの一新に加えて、自動作図機能の強化により、大幅に操作性が改善されたという。PowerPointを使うと約1分半かかるフローチャートの作図が、Visio 2007なら約21秒、Visio 2010であれば約15秒で行えるといった例が示された。

 VisioとSharePoint Serverとの連携は、ワークフロー作成機能と「Visio Service」で実現される。ワークフロー作成機能は、SharePoint Server 2010が持つワークフロー実行機能の大枠を、Visioを使って直接作成できる機能だ。

 Visioで作成したワークフローモデルは整合性のチェックなどをVisioで行った後、「SharePoint Designer」などを利用して、より詳細に内容を定義できる。マイクロソフト、システムテクノロジー統括本部シニアテクノロジースペシャリストの木村佳代氏は、「世の中にはさまざまな製品があるが、VisioとSharePointの組み合わせで、それらよりも低価格にワークフローを実現できる」とする。

 また、「Visio Service」は、SharePoint Server上でVisioドキュメントをオンザフライでレンダリングし、ブラウザ上に表示する機能である。Visioによる図面をSharePoint Server 2010に発行することによって利用でき、サーバ上のドキュメントからは、さまざまなデータソースを、必要に応じてリアルタイムに参照できる。これにより、最新のデータと連携したグラフィカルな図面を生成、ブラウザから閲覧できるという。

 Project 2010、Visio 2010については、11月中にベータ版の一般公開が予定されている。

Visio 2010 SharePoint Serverの「Visio Service」により、SharePoint上のVisio図面をブラウザから共有することが可能に。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]