シトリックス・システムズ・ジャパン(シトリックス)は11月18日、Microsoftの仮想化技術「Hyper-V」による仮想プラットフォームに仮想化管理機能を提供する「Citrix Essentials 5.5 for Hyper-V」の提供を開始したことを発表した。
同社の仮想化技術「XenServer」を対象にした管理製品「Citrix Essentials 5.5 for XenServer」に続く製品となる。税別価格は、プロセッサ数に関係なくサーバ1台あたり28万500円。
Hyper-Vのユーザーは、「Windows Server 2008」に搭載されたHyper-VとMicrosoftの運用管理製品シリーズ「System Center」の管理機能をストレージ管理やプロビジョニングサービス、ワークフロー機能、ラボ自動化の分野まで広げることができるとしている。Citrix Essentials 5.5 for Hyper-Vは、最新サーバOSの「Windows Server 2008 R2」に搭載される新しい仮想化技術「Hyper-V 2.0」とSystem Centerに対応して、機能を拡張できるという。
ストレージ管理では、「StorageLink」と呼ばれる技術で複数の主要ストレージプラットフォームを統合して、Hyper-V環境でのストレージ管理コストと複雑さを軽減できるという。ウィザード形式で既存のストレージアレイのサービスを利用できて、先進的なストレージ機能がシームレスに利用可能としている。
StorageLinkを搭載するCitrix Essentials 5.5 for Hyper-Vは、ストレージの標準となっている「SMI-S」ベースのものも含むすべてのストレージアーキテクチャをサポート。これにより、より高速な仮想マシンの再配置と仮想環境でのストレージ管理の総所有コスト(TCO)削減を実現すると説明する。
またStorageLinkを活用して、下層ストレージアレイのレプリケーションサービスを開放して、Hyper-V環境でのリモートのフェイルオーバ対策を可能にするという。「StorageLink Site Recovery」を活用すれば、ネイティブストレージのリモートミラーリングサービスを設定でき、Site Recoveryに含まれる機能でリモートサイトで仮想インフラの復旧性能をテストできるとしている。また復旧する仮想マシンのクローンを分離されたネットワーク上に作成、保存でき、進行中のデータレプリケーションやHyper-Vインフラへのアクセスを妨げずに復旧テストを実施できるとも説明している。
プロビジョニングでは、サーバワークロードの配信を高速化して、システム全体の柔軟性と即応性が向上しているという。単一のサーバイメージからアプリケーションワークロードを動的にプロビジョニングすることで、システムの展開、運用管理のモデルを一新するとしている。
Citrix Essentials 5.5 for Hyper-Vを使用すると、ストレージコストを削減すると同時に、数百の独立したサーバイメージのパッチ適用や保守作業、テスト、サポートに生じる負担を軽減できると説明する。また、物理サーバと仮想サーバの両者に対するワークロードをプロビジョニングすることで、データセンターのインフラの効率性も改善するという。
Citrix Essentials 5.5 for Hyper-Vに含まれる「Citrix Workflow Studio」は、インフラストラクチャを構築するプロセスを自動化させるプラットフォームだ。Workflow Studioを活用すると、たとえばトラフィックパターンの変化を検出してオンデマンドアクセス用のサーバリソースを自動的に再構成したり、フェイルオーバや復旧手順を自動化させたりといったことが可能になる。データセンター内にあるサーバやストレージなどの複数の技術を制御して、データセンターにより柔軟性をもたらすことができる。
Workflow Studioは、Microsoftのスクリプト言語「Windows PowerShell」やワークフロー基盤「Windows Workflow Foundation」で動作するように設計されており、使いやすいGUIでワークフローを作成でき、スクリプトの作成は必要ないという。Workflow Studioは、「XenApp」「XenDesktop」、XenServerに加えてアプリケーション配信制御機器の「NetScaler」に対応している。
Citrix Essentials 5.5 for Hyper-Vには「ラボ環境管理」機能も搭載されている。これは、ラボ環境のインフラ管理を自動化することで、開発やテスト、サポートなどの各組織で一般的に発生する管理の複雑さを軽減したり、時間やコストを削減できるという機能になる。