MicrosoftがAdobe Systemsのプロ写真家向けのポストプロダクションソフトウェア「Photoshop Lightroom」に対抗するため、“SmartFlow”プロジェクトを進めていると聞いたのは2年前のことだ。当時インキュベーション状態にあったSmartFlowは、その後静かに消えていったのかと思っていた。
だが米国時間11月17日に米ロサンゼルスで開幕した「Professional Developer Conference(PDC)」で、Microsoftのチーフソフトウェアアーキテクト、Ray Ozzie氏にインタビュー中、SmartFlowの開発が継続していることがわかった。ただし、プロジェクトは新しい部署に移行しており、内容も多少変更している。
Ozzie氏によると、SmartFlowはMicrosoftが先日立ち上げたFUSE(Future Social Experiences) Labsのプロジェクトになっているという。FUSE Labsは82人体制のソーシャルコンピューティングラボで、ゼネラルマネージャーLili Cheng氏が率いている。Cheng氏のMicrosoft Research(MSR)クリエイティブシステムグループとOzzie氏の2つのラボ(ワシントン州レドモンドにあるRich Media Labsとマサチューセッツ州ケンブリッジにあるStarup Labs)が融合したものだ。
「あまり知られていないが、(元最高技術責任者の)David Vaskevitch氏の下で進んでいたSmartFlowというプロジェクトがCheng氏の下に入った」とOzzie氏は述べた。「FUSE Labsには、ソーシャル(ネットワーキング)のコミュニケーション面とメディア面に強い人が集まっている。写真や動画の利用とコミュニケーションが組み合わさる世界でどんなアイディアが出てくるのか、とても楽しみにしている」(Ozzie氏)。
「Windows Azure」に向けて、Azureチームと舞台裏でかなりの時間を過ごして一体化するのを支えた後、Ozzie氏は現在、社内のほかのプロジェクトに多くの時間を割いているという。中でもFUSE Labsは重要となるようだ。
SmartFlowは「当初はLightroomを目指していたが、方向性という観点から見て、人々が実際にやっていることのほうがエキサイティングだと気が付いた」とOzzie氏は説明する。「写真は、カメラ付き携帯電話の登場と利用により大きく変わった。つまり、私はDSLR(デジタル一眼レフカメラ)を持っているが、多くのマニアが写真でやっていること、コミュニケーションの流れの中で写真を使っていることのほうがずっと興味深いし、現時点では、動画はまだ未開分野だと思う」と続けた。
Live Labs、Office Labs、Ad LabsなどのMicrosoft社内のラボと同様、Cheng氏とCheng氏のチームが取り組んでいるインキュベーションプロジェクトが商用製品になる確約はない。Ozzie氏は、SmartFlowの詳細や、テストや正式版の形で一般ユーザーに提供される時期について明言していない。だが、SmartFlowがベールを脱いだ後、ソーシャルネットワークが写真編集にどのような影響を与えるのか、興味深いところだ。
(関連情報:元サーバ・ツールグループ担当CTOのVaskevitch氏は9月、静かにMicrosoftを退社していた。この記事を書くにあたって、Vaskevitch氏の役職を確認しようと調べてわかった。Vaskevitch氏は1986年からMicrosoftに勤務しており、マーケティングと戦略でさまざまな役職に付いた人物だ。)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ