国内データセンター市場:2ケタ成長続き、2013年は1兆円産業に--IDC予測

田中好伸(編集部)

2010-01-06 15:52

 日本国内のデータセンターサービスは2013年にも1兆円産業に――。IDC Japanが1月6日に発表した予測で明らかになっている。

 同社の調査によれば、日本国内のデータセンターサービス市場は2008年で前年比12.5%増の7612億円。2009年は前年比7.2%と成長率は鈍化して規模は8158億円になると見込んでいる。2009年から2013年までの年間平均成長率は12.8%で推移して2013年には1兆3213億円になると予測している。

 2008年に景気後退の影響を受けて、2009年の同市場の成長は鈍化しているが、IDC Japanでは2010年以降に景気が回復するにつれて、国内のデータセンターサービス市場の前年比成長率は上昇に転じると予測。また、2013年までの伸びは比較的高水準で推移するとも見込んでいる。

 だが都市部を中心に、データセンター事業者の大規模な増設や新設が予定されていて、需給が緩むことから価格低下圧力が強まるとも同社では見ている。

 同社の伊藤未明氏(ITサービスリサーチマネージャー)は、「単純な設備貸しとしてのデータセンターサービスだけでは、差別化が難しくなっている」と現状を説明。その上で今後は「データセンターの運用品質や信頼性の高さなど、サービスの種類と質による差別化が重要になる」との見解を明らかにしている。

グラフ 国内データセンターサービス市場セグメント別投資額予測(出典:IDC Japan)

 2008年以降の急激な景気後退を受けて、企業では経費抑制圧力が強まっていて、システム運用を外部委託する動きが鈍くなっている。また、すでに外部のデータセンターに運用委託している企業の場合、委託範囲を絞り込む動きが見られるようになっているという。

 このため、サーバやストレージなどのハードウェアの設置場所を貸し出す「コロケーション」と、データセンター事業者が所有するサーバを特定顧客専用に貸し出す「専有ホスティング」は、新規利用のための費用が大きくかかることから需要が伸び悩んでいるとしている。

 その一方でデータセンター事業者が所有するハードウェアを複数企業が共有して利用する「共有ホスティング」は、料金が安価ですむことが多く、景気後退の影響は比較的小さくなっているという。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]