富士通と富士通研究所は1月18日、暗号技術「楕円曲線暗号」と現在標準的に使われている「RSA暗号」との強度比較基準を策定することに成功、楕円曲線暗号が従来よりも数千倍程度相対的に高い強度であると発表した。
今回は(1)すべての楕円曲線暗号に適用できる最速の解読法とされる「p法」による解読実験を統一環境下で実施、(2)一般的に利用される楕円曲線に対して、網羅的に解読実験を実施してそれぞれの強度を比較、(3)以前の研究で得ていたRSA暗号の解読実験データと比較して、RSA暗号と強度を比較――といった方法でRSA暗号と楕円曲線暗号の強度比較基準を策定している。
この成果を活用すると、楕円曲線暗号の寿命を予測できるとし、楕円曲線暗号システムの更新時期が明確になるとしている。楕円曲線暗号とRSA暗号の精密な強度比較が可能となったことで、個々のシステムでRSA暗号と楕円曲線暗号のどちらがより適しているかを判断、最適な技術を選択することで、暗号システムの安全性や利便性の向上に貢献できると説明している。
RSA暗号は、通信プロトコルのSSLにも採用されるなど、現在ネットでよく使われている暗号技術。RSA暗号よりも新しい技術である楕円曲線暗号は、RSA暗号よりも短い鍵長で同等の強度を実現できることから、使い勝手のいい技術としてデジタルコンテンツ保護規格などに採用されている。
RSA暗号と楕円曲線暗号の精密な強度比較はこれまで行われておらず、暗号システムの作成でどちらの暗号がより適しているかを判断するための明確な基準が存在していなかった。今回の取り組みは、そうした課題に対応するためのものだ。