IDC Japanは1月27日、国内ストレージソフトウェア市場の2009年上半期の売上実績と、2013年までの予測を発表した。
同社によると、2009年は経済環境の厳しさを反映し、上半期の国内ストレージソフトウェアの売上は394億2400万円で、前年同期比6.7%の減少になった。通年でも売上は776億2200万円、前年比4.7%の減少となる見込みだという。また、国内ストレージソフトウェア市場の2008年から2013年までの年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を2.4%、2013年の市場規模を918億円と予測している。
ストレージソフトウェア市場は、2008年の時点では経済不況の影響が比較的少なかったが、2009年上半期に急速に市場が縮小した。その理由としては、ストレージハードウェア売上の不振から受けた影響が大きいという。
さらに、2009年上半期の外付型と内蔵型のハードウェアを合計した国内ディスクストレージシステム売上は、前年同期比で20%を超える減少となっており、それをある程度ストレージソフトウェアで補う部分はあったにしても、ソフトウェア売上が単独でプラス成長を保てるレベルではなかったとしている。また、これまで国内ストレージソフトウェア市場を牽引してきたデータ保護やリカバリソフトウェアも前年同期比0.1%減となりプラス成長を保てていないという。
ただし、相対的には他の製品分野よりも減少幅が小さく、同時期のサーバ出荷台数実績の減少幅がマイナス20%を超えていることを考慮すると、小幅な減少に留まったと評価できるとしている。特に、Unix、Windows、Linuxなどオープン系OS稼働環境ではプラス成長を維持していることを考慮すると、データ保護に対する国内需要が健在と判断できるという。
また、現在の国内企業のITインフラ環境整備における仮想化技術を利用したサーバ統合の推進や統合規模拡大など、仮想化技術導入の傾向は、サーバ台数を削減することによってITコストを抑えることが、その動機になっている面が大きいとしている。
しかし、近い将来、ユーザーが仮想化技術をより高度に使いこなすようになることで、リソースの動的再配置機能が評価され、ストレージの仮想化も求められるようになってくると考えられる。さらに、これまで主にディスクアレイの専用ソフトウェアによって行われていたストレージ管理は、今後はサーバ側で制御する製品、マルチベンダー製品を管理する製品の利用も広がるだろうとしている。
IDC Japanストレージシステムズリサーチマネージャーの鈴木康介氏は「データ保護を目的としたユーザー企業の投資は、厳しい経済環境下にある現在でも確実に行われている。今後、経済が回復する時期には、データ保護の強化を図る企業がさらに増えてくるだろう。また、サーバ統合の進展はストレージ管理機能への要求が高まることにつながり、ストレージソフトウェア市場の拡大を後押しするものと考えられる」とコメントしている。