1年での社長交代は攻勢再開の証--日立、中西新社長に期待される「攻めの経営」

大河原克行

2010-02-08 10:00

 日立製作所は2月4日、代表取締役社長に現副社長の中西宏明氏を昇格させる4月1日付けの社長人事を発表した。

 会長兼社長を務めていた川村隆氏は、在任期間1年という「ワンポイントリリーフ」で社長の任を解かれ、今後、代表取締役会長の職に専念する。

 当初より川村氏の社長としてのリーダーシップは短期であるとの見方はあったものの、1年間という「超短期」でのバトンタッチには驚きの声もあがる。

中西宏明氏 4月1日付けで、日立製作所の社長に就任する中西宏明氏

 次期社長の中西氏も、「このタイミングでの打診には驚いた」と明かす。昨年末に社長就任を打診されたときには、社内カンパニー制を導入するとともに、川村体制下で、5人の副社長が支える体制への移行時期。「まさか」というのが本音だったという。

 振り返ってみると、2009年4月における川村氏の会長兼社長就任から、異例づくめだった。

 子会社である日立マクセルの会長から、本体の日立製作所の会長兼社長に就くということ自体が異例であるし、若返りが前提とされることが一般的な新社長人事に、前社長の古川一夫氏から7歳も高齢化が進む、69歳での新社長登板も異例だった。さらに、財務畑出身の2人の副社長を、子会社から呼び寄せるという人事も驚きだった。

 川村氏は、「当時は、3年連続の最終赤字という業績のなかでの就任であり、まずは『出血』を止めることが最優先課題。迅速な意思決定を下す必要があった」とする。2009年3月期の赤字は7873億円と、巨額な損失を発表してからまだ1年を経過していない。川村氏が、会長兼社長に就任後、大鉈ともいえる改革に乗り出したのは周知の通りだ。

 日立マクセルをはじめとする上場5社の完全子会社化、ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスとの経営統合、携帯電話事業を行うカシオ日立モバイルコミュニケーションズとNECの携帯電話事業部門との統合など、グループ会社の再編に矢継ぎ早に取り組み、薄型テレビ事業の縮小をはじめとする構造改革にも挑んだ。

 日立の本流である重電出身という経験も、日立グループの大改革を促したといえよう。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  5. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]