オートデスクと、一般社団法人日本サステナブル・ビルディング・コンソーシアム(JSBC)は2月18日、グリーン建築の普及に向けた技術提携を発表した。
JSBCは、建築物の総合的な環境性能評価・格付けシステムである「CASBEE」の開発、普及活動を行っている団体。CASBEEは、建築物のサービス性能や快適性、省エネ、省資源を評価する国内の基準として2003年に公式発表され、国や地方自治体で採用されている。
今回の提携では、CASBEEとオートデスクの3次元モデルを利用したBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソリューション「Autodesk Revit Architecture」とを連結。建築3次元モデルとの連携により、設計データの統合化とCASBEE評価の自動化、迅速化につなげるという。
JSBC理事長の村上周三氏(独立行政法人建築研究所理事長)は、「建築分野における省エネ化は京都議定書以降、増加傾向にあり責任を感じている。まずは建築性能の見える化が必要であり、さらに、BIMと結びつけて、行政、産業界、一般の人たちにもわかりやすく利用できるようにしなくてはならない。また、エネルギー法の改正により、PAL(Perimeter Annual Load、年間熱負荷係数)に関する行政への申請についても、これまでの2000平方メートル以上から、4月1日には300平方メートル以上へと適用範囲が広がり、申請が義務づけられる対象が6〜7倍にも増加することになる。行政の窓口や建築業者の負担が増加するのは明らかであり、その点でもIT化を促進すべきである。その中核がBIMになると考えている。次のステップでは、BEST(ビルディング・エナジー・シミュレーション・ツール)とBIMの連携にも踏み出したい」などと語った。
JSBCとオートデスクは、2008年9月からワーキングクグループを設置して、Autodesk Revit ArchitectureとCASBEE-新築(簡易版)の適合性作業に着手しており、2010年3月には、その成果として連結ソフトの暫定版を作成。7月には「Revit+CASBEE Connector」として市場投入する計画を明らかにした。まずはCASBEE評価項目のうち、11項目を対象に連結を図る。将来的には、この連結ソフトを利用したCASBEE評価の申請も視野に入れているという。
Revit+CASBEE Connectorのパッケージ価格や販売チャネル、販売目標などは現時点では未定となっている。