ワーキンググループには、JSBC理事の岩村和夫氏(東京都市大学大学院教授)を主査に、国土交通省住宅局建築指導課、住宅生産課といった行政のほか、東京都市大学、慶應義塾大学といった教育機関、オートデスク、大成建設、竹中工務店などの企業が参加。BIMツールとCASBEE評価ツールを連結する際に、BIMツール開発者に対して、CASBEE評価の考え方を公開するとともに、複数のBIMツール開発会社が利用できる形で成果をとりまとめることを目指した。

そのほか、行政への届け出資料の作成支援、第三者認証申請支援などへの活用イメージの議論、BIMとの連結によるCASBEEの評価体系自体の進化の可能性について議論を行い、これらを実現するための連結ソフトの開発を目標にしたという。
また、連結ソフトは、PAL計算にも対応しており、PALの届け出にも有効なソリューションになるほか、これまで手作業でやっていたCASBEEの煩雑な申請作業の業務量を軽減でき、評点の早期把握が可能になるという。
オートデスク代表取締役社長の鬼澤盛夫氏は、「CASBEEの評価項目は6分野92項目あるが、そのうちBIMとの連携に関する項目は3つ。しかし、この3つの項目だけで、CASBEE評価に要する建築設計者の工数を50%削減できる。世界には様々な建築環境設計基準があるが、日本が世界に先駆け、BIMのグローバルスタンダードであるAutodesk Revit Architectureと環境評価のスタンダードであるCASBEEとの連携を実現できる」とした。

JSBC理事の岩村氏は、「BIMの普及によって、設計の仕方が変わるだけでなく、建築物の管理、運営といったライフサイクル全般に渡って、大きな変化を及ぼすことになると考えている。今回のRevitとCASBEEとの連結により、膨大なデジタルデザイン情報および図書を互いに連携し、統合化できる。それにより、性能、内外観、コストなどを迅速に的確に予測、評価することができ、結果としてプロジェクトを迅速に、経済的に、さらに環境負荷を少なく遂行することができる。モデルの作成と連動して、CASBEEの評価結果を即座に把握することができ、設計行為の過程で環境性能の改善と検討をインタラクティブに行うことが可能になるほか、設計者の負担が大きかった昼光率、PAL値などの自動採点が行えるようになり、CASBEE自体の合理化、評価の自動化を推進できる。条件さえ整えば、オートデスクに限らず、他社とも連携していくことになる」と述べた。