宝印刷は、上場企業などのディスクロージャー支援サービス「X-Editor」と、財務諸表を標準フォーマットである「XBRL」に変換する「XBRLツール」の基盤に「Microsoft Windows Azure Platform」を採用した。技術支援した日立システムアンドサービス(日立システム)が2月22日に発表した。
X-EditorとXBRLツールは、上場企業が金融庁の電子開示提出システム「EDINET」を通じて電子提出することが義務付けられている有価証券報告書などの作成を、オンライン上で編集から完成までサポートする。報告書作成の関連処理が四半期ごとに大きなピークを迎えることから、ピーク時に合わせた大規模な設備が必要となり、そのためのコストや工数が増加していたという。
今回のシステムでは、マイクロソフトがWindows Azure Platformに関する技術情報を提供するとともに、日立システムが提供する企業内システムとクラウドコンピューティングを最適に組み合せる“ハイブリッドインテグレーション”を適用し、企業システムをWindows Azure Platform上に構築するためのノウハウを提供しているという。それにより、Windows Server上で動作する.NETベースの既存アプリケーションを短期間でクラウド上に実装することができるとしている。
日立システムでは、顧客のニーズに沿ってデータベースは国内の自社運用(オンプレミス)型システムに配置したまま、利用ピークが限られるアプリケーション部分をクラウド上に配置するハイブリッド方式のクラウドシステムを構築した。必要に応じて必要な分だけコンピューティングリソースを利用できるだけでなく、現在利用中の自社運用環境にあるサーバやソフトウェアと、クラウドをシームレスに組み合わせて運用できるWindows Azure Platformの機能を生かし、顧客にとって最適なシステムを「ソフトウェア+サービス」の考え方に基づき具体化したとしている。
検証システムは、Windows AzureとWindows Serverベースの自社運用システムを組み合わせたハイブリッド方式のクラウドシステムを構築することで、運用に関わるコストと工数を削減したという。また、処理量の変動に柔軟に対応したシステム資源の利用による効率的な運用も可能にしたという。これにより、X-EditorとXBRLツールは、従来通り高いセキュリティを保ったまま、利用ピーク時のレスポンス改善など、サービスレベルの向上が可能であることを実証したとしている。
宝印刷は、マイクロソフトの企業向けオンラインサービス「Microsoft Business Productivity Online Suite(BPOS)」の販売と導入支援で豊富な実績を有する日立システムとともに、クラウドコンピューティングプラットフォームの導入で課題を解決し、提供するサービスの品質向上を目的に、2009年8月から検証システムの開発を進めてきたとしている。