日本IBMは3月4日、2010年のビジネスパートナー向け施策などについて発表した。
2010年1月に、ビジネスパートナーを支援する「パートナー事業部」と、従業員1000人未満の中堅・中小企業向け直販部門である「ゼネラルビジネス第一事業部門」を統合し、「パートナー&広域事業部門」を発足。今後、この領域に向けては、すべてをパートナーとの協業体制とする。日本IBMが、直販部門とパートナー部門をひとつの組織としたのは初めてのことという。
また、クラウド時代の新たなパートナーモデルとして、SOP(サービス・オリエンテッド・パートナーリング)と呼ばれるサービスビジネスの流通、再販モデルを構築。4月から本格的に稼働することを明らかにした。SOPには、現在116社のビジネスパートナーが参加の意向を示しており、2010年末までに300社にまで拡大する考えだ。
日本IBM執行役員、パートナー&広域事業担当の岩井淳文氏は「2009年からパートナービジネスの骨太方針として『原点にかえった支援と施策の展開』『パートナーのビジネスの最大化を支援する施策の展開』『新しい時代へのパートナー事業創造の支援』の3点に取り組んでいる。クラウドビジネスにおける協業をはじめとした環境の変化に対応した多角的な支援体制の構築や、これまで縦割りで展開してきた支援体制についても“One IBM”として支援できる体制とした。また、これまでIBMが不得意としていた従業員100人以下の市場や地方自治体、中小金融機関、医療、文教分野についても、積極的にビジネス展開する」などとした。
「原点にかえった支援と施策の展開」としては、2009年において、四半期ごとに6000部ずつ配布してきた「販促虎の巻」などの営業資料の配布のほか、全国規模で展開を開始した早わかりセミナーのテーマを、ハード、ソフトに加えて、今年からサービスにまで拡張。さらに広域事業の統合および連携と全国カバレッジの強化、ピジネスパートナーで構成される「愛徳会」を対象に9回に渡り実施したミーティングを通じて得た意見をもとにしたパートナー施策の改善、ソリューション協業の強化を進める。
「パートナーのビジネスの最大化を支援する施策の展開」では、ダイナミック・インフラストラクチャー認定制度の開始や、約80社が参加したSOAパートナーコミュニティの発足に続き、クラウドコンピューティングの共同ビジネス展開、ストレージを単体で取り扱うストレージビジネスの推進、IBMが買収したコグノスやSPSSなどのハイバリューソフトにおけるパートナービジネスの推進を進める。
「新しい時代へのパートナー事業創造の支援」では、One Team for Partnersの発足により、パートナーへの窓口の一本化や「IBMエクセレント・パートナー・アワードJapan」の創設に加え、Smarter Planetの実現を支えるBAO(Business Analytics and Optimization)、SOAの推進を図る。
「パートナーにとっては、ハード、ソフトの再販ビジネスの魅力が低下しており、ビジネスがサービス中心に移行している。だが、その領域でパートナーとIBMが競合したり、重複したりといったことが発生してきた。今後は、パートナーのサービスを販売支援し、それらを補完するためにIBMサービスを活用する仕組みとする。パートナーが売りたいソリューションを関連IBM製品と合わせて販促できる仕組みや支援プログラムを整備するなど、共同マーケティングも展開する。他社が直販指向にあるなかで、日本IBMはパートナー中心指向となる点が大きく異なる」(岩井氏)
さらに、同社では、パートナーを経営の側面からも支援する体制を確立していることを明らかにし、「一部のビジネスパートナーに対しては、IBCS(IBMビジネスコンサルティングサービス)などによる経営コンサルティングも行っている。物販の人員を削減する一方、保守の人員を増員するなどの人員シフトの支援なども行っている」とした。
一方、新たにスタートするSOPについては、2010年2月にパートナー向け説明会を開催し、これまでに116社が参加の意向を示している。先行事例パートナーのサービス商材の再販を開始するほか、2010年第2四半期には、SOPパートナーが持つソリューションを紹介するユーザー企業向けSOPポータルサイトの立ち上げや、協業マーケティングプログラムの実施のほか、2010年下期にはインセンティブ/アワードプログラムを展開する。
SOPは、顧客との関係構築や既存システムとクラウドサービスの連携、サービスのカスタマイズと保守を行う「サービス・インテグレータおよびリセラー」、サービスの企画、開発、提供とメンテナンス、課金や契約などのビジネス管理を行う「ビジネスプロバイダー」、アプリケーションやミドルウェアの開発、提供、保守を行う「ソリューションベンダー」で構成。これによりIBMのハード、ソフト、またはパプリッククラウドサービスを組み合わせて再販を行う。
岩井氏は「SOPはクラウドを中心としたウェブベースの中堅中小企業向けソリューションサービス全般を対象にしている。パートナーにとっても、新たなビジネスチャンスの発掘と新規顧客開拓、新たなビジネスモデルへの移行を促進し、サービスビジネスの拡大を支援するものになる」とした。