働き方の変化がデスクトップに多様性を求める
「ここ最近は、企業がデスクトップに求めることが多様化している」マイクロソフト コマーシャルWindows本部 ビジネスマーケティング部 シニアプロダクトマネージャの原田英典氏は、いまや働き方が複雑化しており、それに対応できるPCクライアント環境が企業で求められていると言う。複雑化の要因の1つとしてまず挙げられるのが、働く場所を問わなくなっていること。営業担当者が外出先にてモバイル端末で作業するのはもちろん、普段はオフィスでデスクトップPCを用い作業していても、災害やパンデミックなどが発生すれば、ビジネス継続のために自宅などオフィス以外の場所で別のPCを利用し働かなければならない。
また、企業ではさまざまな人材が働いている。ある人はフルタイムの正社員、ある人はパートタイム、派遣や契約社員など契約形態もさまざまだ。これらの人々がそれぞれの権限などに応じ、適切に仕事が行える環境を提供しなければならない。当然ながらコンプライアンスやセキュリティの強化などが、PCクライアント環境にも求められる。
そして、これら複雑化するPCクライアント環境への要求に、当然ながらなるべく低コストで応えなければならない。そのために、マイクロソフトではさまざまなデスクトップ環境を提供している。そして、それを可能にしているのが仮想化の技術だ。
シンクライアントを実現する3つの方法
コンプライアンスやセキュリティ強化に有効なのが、シンクライアントだ。このシンクライアントを実現するのにも、複数の方法がある。「シンクライアントを安価ですぐに始められるのがTerminal Serviceを用いる方法」と原田氏。Terminal Serviceでシンクライアントを実現するには、サーバにWindows Server 2008を用意するだけでいいのだ。ただし、この場合はWindow Server 2008の上で動くアプリケーションしか利用できない。また、多くのシンクライアントを稼働させるには、高性能のサーバを用意する必要もあるだろう。
クライアント環境に性能を求めるのならば、ブレードサーバを用意し1つのシンクライアントに1つのブレードPCを割り当てる方法もある。これならば、1台のマシンを占有できるので、負荷の高い処理を行っても他のユーザーに影響を及ぼす心配もない。この方法でハードルとなるのは、導入コストやサーバの省電力化などであろう。
もう1つのシンクライアントの実現方法が、Virtual Desktop Infrastructure(VDI)を用いる方法だ。サーバ上でハイパーバイザのHyper-Vを稼働させ、その上で動くクライアントOSをシンクライアントから利用するのだ。「これがシンクライアントを実現するもっとも新しい方法」と原田氏。この方法であれば、サーバのリソースを柔軟かつ有効に活用できる。
ブレードPCでは他のPCにリソースの余裕があっても、別のPCからそれを利用することは基本的にできない。VDIであれば仮想化されているので、リソースを動的に割り当てることが可能だ。そのため、あるクライアンには標準よりも多くのリソースを割り当てることが簡単にできる。これならば、シンクライアントでも開発者には事務担当者よりも多くのメモリやCPUリソースを割り当てるといったことが可能となり、多様なクライアント環境の要求にも柔軟に対応できる。シンクライアントの方法を選択する際には、利用するユーザーの要求や用意できる予算に応じ、これら3つの方法をそれぞれ選ぶか、あるいは組み合わせて利用することになる。