「Microsoftでは、クラウド戦略を最重要分野として位置付けることになった。これに基づいて社内組織も成り立っており、今後の取り組みもすべてクラウド戦略がベースとなる」--マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏の言葉だ。同社は3月24日、クラウドコンピューティングの取り組みに関する記者会見を開催し、あらためてクラウドに対して本気であることを強調した。
Microsoft International プレジデントのJean-Philippe Courtois氏によると、Microsoftでは4万人の社員がソフトウェアの開発に従事しており、そのうち70%がクラウド関連の活動に参加しているという。時間にすると、年間90%がクラウドまたはクラウド関連のプロジェクトに費やされているとのことだ。
「Microsoftのクラウド戦略は、もともとコンシューマーサービスから始まった。HotmailやWindows Live、Bingなどがその一例だ。これらのサービスを引き続き推進するのはもちろんだが、Windows 7ではこうしたサービスとの連携も始まっている。また、Microsoft OfficeやExchange、SharePointはクラウドを重視して開発されており、Azureはクラウド運用を基本としたプラットフォームとなっている。つまり、コンシューマー向けサービスからエンタープライズ向けサービスまで、Microsoftはすべてクラウドをベースに考えているということだ」(Courtois氏)
Microsoftでは、従来のインストール型のソフトウェアでもクラウド型のソフトウェアでも同一の技術やプラットフォームを使って開発しており、クラウド上でもインストール型のソフトウェアを使う感覚で利用できるとしている。そのため、「柔軟なデータの移行と連携ができることがMicrosoftの強みだ」と樋口氏。また、現在世界の6カ所に設置されているデータセンターをさらに拡充し、サービスや機能の充実も図るとしている。
Courtois氏は、クラウドに対応する端末に関しても、「より自然なインターフェースに対する要求は尽きることがない。今後はタッチセンサーのような認証技術などもサポートすることになるだろう」として、デバイスに対する投資にも意欲的な姿勢を見せた。
日本における活動については、「これまで通り、クラウド分野でもパートナーと連動して取り組む」と樋口氏。その一例として、富士ソフトとクラウドおよびオンプレミスの両分野で協業したことや、アクセンチュアとアバナードとの協業でクラウド関連サービスを開始したこと、ソフトバンクBBのスマートフォンと「Microsoft Online Services」の連携ソリューションを販売開始したこと、NECと協業し企業向けオンラインサービス「Business Productivity Online Suite(BPOS)」の導入支援を開始したことなどを挙げた。
また、大企業向けのコンサルティングを充実させるべく、エンジニアを400人体制とするほか、クラウド開発者の支援も強化するとしている。さらに同社では、クラウドに関する情報を発信するためのサイトを同日オープンした。
樋口氏は、「クラウドに対し、一時的なブームとは違った本格的な取り組みをしている。最優先の戦略的分野として全事業部門でクラウド関連業務を拡大しており、今後パートナーとの連携も加速させる。日本のユーザーからの厳しい要求に対しても、本社と連携しつつ応えていきたい」と述べた。