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損保ジャパンとアフラックが取り組む「タイムリーな知識共有」が生み出した価値 - (page 2)

富永康信(ロビンソン)

2010-03-29 16:00

「完全匿名コミュニティ」もアリ

 まず、ステップ1の「オンデマンドとスピーディ」では、必要な情報をリアルタイムに取り出せる環境整備と、現場目線でスピーディだと感じる仕組みを提供する環境を作った。IBMの「WebSphere」製品を活用した企業情報ポータル「損保ジャパンの窓」を構築し、通達やニュースのようなフロー情報の配布先を細分化した。ポータルは現在、1日約2万回のログインがあるという。

 また、検索エンジンを強化してポータルのサマリ表示や語句の絞り込みを実施。1日約3万4000回の利用があり、利用回数は増加傾向にあるという。また、利用者側での検索システム活用のテクニックも向上しているという。

 ステップ2の「コラボレーションとフィーリング」においては、「助け合いの精神」で組織力を発揮し、社員同士の交流を促進することが目的となった。そのため、ポータルから誘導できる社員間のオープンなコミュニケーションの場として、Beat Communicationの企業内SNSをカスタムで導入し、それを核に「Q&Aコミュニティ」「ブログ」「ノウフー(社員の知識やノウハウを、人を軸にデータベース化したもの)」などのコミュニティツールを用意した。

 現在、SNSは担当課長以下の任命された社員および自由参加の社員を対象に2260名が社内外で利用している。約3.5人に1人が月1回はログインし、日記のエントリーは1日11件、約50のコミュニティが立ち上がるなど、活用が進んでいるという。

損保ジャパンが企業内SNSで実現した効果 損保ジャパンが企業内SNSで実現した効果。事務局が親身になってコミュニティを切り盛りすることでSNS内の文化は向上し、性善説的な統制環境が生まれるという。(画像クリックで拡大表示)

 特にSNSでは、個人名やハンドルネームのほか、完全匿名コミュニティの設置も認めている点が興味深い。そこでのルールは「企業理念や行動指針に外れる行為や個人の誹謗中傷をしない」ことだけだ。同じミッションや立場、悩みを持った人の集うコミュニティ内で“ワイガヤ”を通したやる気向上を図るとともに、そこでのノウハウ交換による業務効率化、そして参加者のネットリテラシーの向上を目的とした。

 その結果、協調的態度をベースにした暖かいコミュニケーションの発生や、仕事や生活に関する相談の可視化、新たな視点への気付き、バッドニュースや失敗のリアルタイムな開示などのほか、セルフヘルプグループの形成からメンターリングの充実(学び合い)へとつながり、新たな社員関係による情報交流事例が生まれているという。

 こうした効果を経て、現在同社では、最後の「ステップ3」の実現を目指した取り組みを行おうとしている。つまり、自立した個人同士が自らの意志で協力し合いながらネットワークを形づくり、相互作用を起こしながら進化発展するための基盤を目指しているという。

 90年代以降、規制緩和による自由化、国際化に伴う競争激化やコスト削減が進み、意思決定のスピードアップやガバナンスの強化、効率化というプラスの効果があった半面、マネジメントの複雑化や現場の硬直化、全体最適から個別最適といったマイナス面も取りざたされるようになった。これらのマイナス面は、社員間で広くはぐくまれ、交換されていた「生きたナレッジ」の衰退を招いた。その状況に直面し、再び社員同士、グループ会社、提携会社、代理店などとの交流を生み出すことが不可欠だったと槻木氏は振り返る。

 「ナレッジは生き物であり、人と人とのコミュニティの中に眠っているもの。それを探り出すには、人間関係に関与する必要がある。だから草の根的で自然発生的なコミュニティを作る必要があった」(槻木氏)

代理店ポータルの改善にアフラックが使ったカギは「検索」

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