日本オラクルは3月30日、企業が配布するデジタルコンテンツやファイルの保護、管理を実現するセキュリティ製品「Oracle Information Rights Management(Oracle IRM)」の提供を開始した。
Oracle IRMでは、メールやデータベースから抽出したデータ、画像などの「ファイル形式となった情報」を暗号化、さらにセキュリティ情報を埋め込むことで物理的にファイルを「シール(保護)」することで、一貫したユーザー認証とアクセス権の強制適用を実現する。なお、同社が言う「シール」とは、「暗号化とセキュリティ情報の付与」を行う処理を意味する。暗号化されたファイル自体にセキュリティ情報が埋め込まれるため、記憶媒体の種類を問わず、ファイルを保護できる点が特徴だ。
日本オラクル常務執行役員、Fusion Middleware事業統括本部長のVivek Mahajan氏は、まず同社のセキュリティソリューションが大きく3層で構成されていることを紹介し、「構造化データの保護は“データベース”で、アプリケーション層の保護は“Identity Management”で対応する」と説明。その上で、今回発表されたOracle IRMは「非構造化データのファイル保護」に対応するものだと位置づけた。
また同氏は、企業における情報漏洩の理由を分類したデータから、「ミス、誤操作、ソフトウェアのバグなど、意図しない漏洩が91.8%、悪意による持ち出しが8.2%」だと紹介し「ミスをしても被害を拡げない仕組み」が必要だとした。
Oracle IRMには、大きく「アクセス権の制限」「操作権の制限」「参照期間の制限」「操作の追跡」の4つの機能がある。ファイルアクセスの際に、あらかじめ設定されたアクセス権限情報や暗号鍵を保持するサーバと通信し、権限が確認された場合にはファイルを復号するという動作が基本となる。
設定可能な権限は20種ほどが用意されており、「ファイルを開く」「内容を編集する」といった基本的なものから、「Excelデータに対し、セルの数値は参照できるが、数値を算出するための数式は参照できない」といったアプリケーションの動作と密接に関連する権限なども用意されているという。
WindowsシステムやOfficeアプリケーションと連携するための豊富なAPIが用意されており、ユーザー側ではOracle IRMの動作をあまり意識することなくファイルを利用できるように配慮されている。
ファイルを開く場合を例にとると、対応アプリケーションでファイルを開けば、背後で自動的にサーバとの通信が行われて権限が確認され、必要であればユーザー認証のためのログインパネルなどが表示される。設定で禁止されている場合には、Windows上で「Print Screenキー」を押してスクリーンショットを撮ってもアプリケーションの画面がマスクされ、情報が表示されないようにする機能なども実装されている。逆にいえば、ファイルを開くためにどのアプリケーションを利用するのか、というルールが標準化された環境での利用が前提となる。
ライセンスはユーザー単位で、企業内ユーザー向けが1人あたり7600円、取引先などの外部ユーザー向けにライセンスを提供する場合は1人あたり1100円となる。対応するファイル形式は、Microsoft Office文書、PDF、画像ファイル(gif、jpg、png)、テキストファイル(html、txt、xml)、メール文書となっており、アプリケーションとしては、Office 2003以降、Internet Explorer、Outlook、Lotus Notesなどに対応する。今後、方針としては「あらゆるファイル形式に対応していく」ことが表明されており、対応形式やアプリケーションは今後順次拡大していく予定だ。