レッドハット、「RHEL 6」ベータ版をリリース--「Xen」は含まれず

文:Matthew Broersma(ZDNet UK) 翻訳校正:湯本牧子、吉武稔夫

2010-04-26 13:41

 Red Hatは、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)6」の第1ベータテスト版をリリースした。特に、仮想化、スケーラビリティ、電力効率などの機能が改善されている。

 RHEL 6は米国時間4月21日、ダウンロード提供が開始された。今回初めて「Xen」ハイパーバイザを含まず、Qumranetが開発した「Kernel-based Virtual Machine(KVM)」のみを搭載した。Red Hatは、2008年にQumranetを買収している。

 Red Hatは、2009年9月に投入した「RHEL 5.4」でXenに加えてKVMハイパーバイザを取り入れた。同社は2009年6月以来、KVMをベースとした仮想化製品をテストしている。

 Red Hatはこれまで、RHEL 6以降Xenを段階的に廃止する意向を常に明言するとともに、企業がXenをベースとした仮想マシンをKVMに移行できるよう支援する各種ツールおよびサービスを提供すると約束してきた。

 Red Hatは、Xenを廃止することにより、2つのハイパーバイザコードベースを維持管理するための膨大な作業から解放されるだろうと述べた。Red Hatはまた、RHEL 5系統について、同社およびパートナー企業各社によるサポートは2014年まで継続されると付け加えた。

 Red Hatによれば、RHEL 6ではパフォーマンス、スケジューラ、ハードウェアのサポートの点でKVMを改善したという。

 新たな仮想化機能としては、不正なアクセスからゲストとホストを保護するセキュリティ機能「sVirt」のほか、物理的デバイスへのアクセスという点でパフォーマンスを改善する「Single Root I/O Virtualization(SR-IOV)」と「N_Port ID Virtualization(NPIV)」、およびカーネルリソース管理のための「libvirt」などを備える。

 RHEL 6では、時間管理システムによって電力管理機能を改善しており、使われていないプロセッサをアイドル状態にする頻度を高める。RHEL 6はまた、「PowerTOP」などの監視ツールや、「Tuned」などのチューニングツールを備えており、サービスの利用パターンに基づいて電力消費を調整できる。

 Red Hatによれば、パフォーマンス向上の一環として、カーネルおよびプロセススケジューラに修正を加えたほか、マルチプロセッサ環境におけるロック同期機能にも改善を施したという。

 デスクトップに関して、RHEL 6ではディスプレイタイプの自動検出機能とマルチディスプレイのサポート、NVIDIA製ハードウェアをサポートする新たなドライバが加わったほか、デスクトップ環境の「KDE」および「GNOME」もアップデートされている。

 RHEL 6ベータ版はRed Hatのウェブサイトからダウンロード可能で、「i386」「AMD64」「Intel 64」の各アーキテクチャ、および「IBM System z」「IBM Power Systems」で利用できる。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    最も警戒すべきセキュリティ脅威「ランサムウェア」対策として知っておくべきこと

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]