KDDIは5月11日、マイクロソフトが提供する「Microsoft Dynamics CRM」を採用し、社内の営業支援システムを統合して営業プロセスの標準化、案件管理および進捗管理を一元化するための新統合案件管理システム「TRICK」を構築したと発表した。
KDDIではこれまで、固定通信、モバイル通信、海外、ソリューションのそれぞれのサービス分野ごとに営業支援システムが散在し、データの活用や連携を十分に行えないという課題があった。一方、同社のソリューション事業部門では、法人向け営業の業務を改善する取り組みとして、2007年より「Challenge to the Advanced Process(CAP)」プロジェクトを推進してきており、今回の新統合案件管理システムの導入は、その一環として、営業支援システムの統合や業務効率化を目指したものだとしている。
KDDIでは、複数社の製品およびサービスを検討した結果、自社設置型とSaaS型のいずれの形式も提供しており、既存システムとの連携、柔軟な設計、運用が可能と判断したDynamics CRM 4.0の自社設置型を採用したという。2008年7月より構築を開始し、2009年7月に2000ユーザー、2010年4月に3000ユーザーが利用を開始している。これは5月11日時点で、Microsoft Dynamics CRMとしては国内で最大の利用規模だという。システムの導入にあたっては、マイクロソフトのエンタープライズサービス部門であるマイクロソフト コンサルティング サービス(MCS)が構築検討の全工程において全面的にプロジェクトへ参画し、KDDIと連携して機能のカスタマイズなどを含む開発を行った。
KDDIでは、営業支援システムを統合することにより、IT管理コストを削減するとともに、業務を可視化することで、より営業活動を客観的かつ正確に検証し、パフォーマンスとして数値化することが可能になったという。また、これまで一部を紙媒体で行っていた営業業務をワークフローシステム化することにより、迅速性と正確性を向上しつつ、紙資源を削減。また、一連の事務処理が簡素化されたことで、社内承認の業務時間を20%短縮し、システム導入後3カ月間で、管理コストを含めて約1000万円分の紙資源の節約を達成したとしている。
さらに、ワークフローのシステム化により、作業をより明確にし、内部統制を強化。営業支援システムを活用して、情報を一元利用することにより、入力負荷を軽減し、入力ミスを削減するなどの効果を挙げたとしている。KDDIでは、6月末までに同システムの導入を海外法人向けにも実施する予定という。