富士通は5月13日、14日の両日、有楽町の東京国際フォーラムでプライベートイベント「富士通フォーラム2010」を開催している。「クラウド」「インテリジェント社会」「環境」「リスクマネジメント」「経営、グローバル」といった多岐にわたるテーマに対し、同社が持つ技術とソリューションを、展示とセミナーをメインに広く訴えるものとなる。
開催初日となる13日の午前中に行われた基調講演では、富士通執行役員社長の山本正已氏が、同イベントのテーマでもある「夢をかたちに -shaping tomorrow with you-」と題して、同社が「今後10年追求する」という新たなビジョンを披露した。
山本氏が冒頭に切り出したのは、現在関心が高まっており、富士通も今後大きく投資をしていくことを表明している「クラウド」に関する話題だ。山本氏は、現在ユーザーが抱えるICTの課題として「システムの複雑化」「運用コストの増大」「稼働率の低下」「インフラ更改費の増大」などを挙げ「運用保守にIT予算の6割以上が割かれている」ことが大きな問題だとした。
「クラウド化によるメリットの大きなものは、インフラコストの削減や運用負荷の軽減。これらのコストを圧縮し、新規の戦略的投資に4割から5割の予算をあてることを目標とし、そのための技術としてクラウドを活用すべき」(山本氏)
そうした中での富士通の強みは、NaaS(Network as a Service)、IaaS、PaaS、SaaSのすべてのレイヤについて一気通貫でソーシングを実現できる唯一のベンダーであること、そして、最新の技術を投入したデータセンターを中核にグローバルで共通の高品質なサービスを提供できる点であるとした。
クラウドの先にある「人中心のインテリジェント社会」
しかし、山本氏はクラウドはあくまでも「基盤」である点を強調する。「経営者の関心事は環境変化に対応できる企業の変革。クラウドが基盤であるなら、その器の中に何を入れるのかが重要となる」という。
この「クラウドを利用することで生まれるユーザーのビジネスや社会システムの変化」を、山本氏は従来のICTによる業務の効率化、省力化、生産性向上といった「コンピュータセントリック」な視点から、ICT利活用による知の創造や行動支援を行う「ヒューマンセントリック」な視点への変化であると説明する。
そして、この変化によって実現されるビジョンを「Human Centric Intelligent Society」として紹介した。
「Human Centric Intelligent Societyとは、実践知が満ちあふれ人々の暮らしを支える社会。人々がより安心で便利に生活できる社会。多数のセンサやモバイル端末、ユビキタス端末によって生み出されるデータを実践知に変えて、人々の暮らしを支えていく」(山本氏)