日本オラクルは6月16日、独立行政法人国立病院機構岩国医療センターが、オラクルのビジネスインテリジェンス(BI)製品である「Oracle Business Intelligence Standard Edition One」(Oracle BI SE One)を活用した医療費の未収金管理システムの稼働を開始したことを発表した。
岩国医療センターは、病床数580、年間約2万5000人の救急患者に対応する山口県最大の医療機関。多くの医療機関と同様、同センターでも医療費の「未収金」問題を抱えており、支払期限から3年未満の時効となっていない未収金が約1億円まで増加してたという。岩国医療センターでは、この問題に対処するため未収金の管理体制を見直した。その結果、督促担当者の異動による管理のばらつきや、請求と未収金の管理を担当する部門間の連携不足が課題として挙がったという。同医療センターでは、これらの課題を解決するにはシステム化が必須と判断し、2008年10月にOracle BI SE Oneを組み込んだ未収金管理システムの導入プロジェクトを開始した。
システム構築は、これまで岩国医療センターの医療事務会計システムや電子カルテシステムなどの構築を担当してきた富士通エフ・アイ・ピー(富士通FIP)が行った。2009年8月に運用を開始した未収金管理システムは、既存の医療事務会計システムから自動的に未収患者の情報を取り込んで、各患者の支払い状況の確認や分析を実現するもの。富士通FIPがJavaで開発したシステムとOracle BI SE Oneをシームレスに連携させたことにより、未収金の増減などをグラフで分かりやすく表示することも可能とした。
また、岩国医療センターでは新システムの構築を開始するにあたって、督促マニュアルの整備を行った。すべての未収金を一律に同じ手順で督促するわけではなく、回収担当者による訪問や回収代行業者への委託などパターン別に督促方法を見直し、作業効率を向上するための業務プロセスの見直しを行ったという。同センターは未収金管理システムの運用開始を通じて、督促担当者だけでなく病院全体で未収金問題の改善に向けた議論を始め、確実に医療費を回収し、病院経営を支える人材と医療の質を高めるための設備投資を進めていく計画だ。