SAS Institute Japanは7月22日、資格認定制度である「SAS グローバル認定プログラム 日本語版」の提供を発表した。“分析”という観点からアプローチして課題を解決できる人材のニーズが高まっていることを受け、統計および分析に強みを持つ同社製品のプロフェッショナル認定制度を始める。9月1日より提供を開始する。
課題を解決する“予見力”を人材面から支援
9月から提供される試験は「SAS Base Programming for SAS 9」と「SAS Advanced Programming for SAS 9」の2種類。いずれも所要時間135分、受験料は1万8900円で、8月23日より予約を受け付ける。試験予約および受験に関する問い合わせは、プロメトリックが窓口となる。
2種類の試験は名称通り、SASプログラミングの基礎資格(Base)と上級資格(Advanced)を提供する試験となる。
受験に対応する研修コースも整備しており、「SASプログラミング入門:基本概念」(2日間)を経た上で、基礎資格に対応する研修コース「SASプログラミング1:必須要素(3日間)」「SASプログラミング2:データ加工テクニック(3日間)」が提供される。プログラミング経験を持つ受験者は入門トレーニングをスキップし、残りの6日間を受講することもできる。
上級資格向けの研修コースとしては、「SAS SQL1:必須要素(2日間)」「SASマクロ言語1:必須要素(2日間)」「SASプログラミング3:上級テクニックと効率化(3日間)」が提供される。
同社プロフェッショナルサービス本部 エデュケーション部長の杉山真理子氏は、「(基礎資格向けの研修は)SASの基本的なプログラムを習得することと、心臓部であるデータ加工の部分を中心としたベースプログラミングを提供する。Advanced(上級資格向け)は、作成したプログラムを汎用化したり、効率化したりする手法を提供する」と、両者の違いを述べている。
また、同社では日本語版試験の開始にあたり、「SAS認定プロフェッショナル バリュー・パッケージ」を提供する。基礎資格向けと上級資格向けに対応する2種類の研修コースを10%オフで提供するほか、受験バウチャーを無償で受けることもできる。アカデミック向けには50%を割り引く特別割引制度も用意した。
2010年第4四半期には「SAS Platform Administration for SAS 9」「SAS Data Integration Development for SAS 9」「SAS BI Development for SAS 9」といった、よりビジネス分析寄りの試験を順次提供する。
「SQLプログラミングを皮切りに、データインテグレーションやビジネスインテリジェンスといった領域の資格も順次拡大する」と杉山氏。資格提供の意義についても、「パートナーやユーザー、そして個人のそれぞれにとって、可能性が広がる資格でありたい。SASは企業の課題を解決する“予見力”を提供しているが、今回の発表は人材を使ってそれを支援するもの。課題解決のためには予見力とそれを実現する個人が必要だ」と述べている。
人材の数だけでなく、質も重要
同社執行役員 ビジネス開発本部長 兼 プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏は、企業を取り巻く環境が激しく、厳しく変化するなか、分析プロフェッショナルのニーズが高まっていると強調する。その代表例として宮田氏が挙げたのは、「マーケティング分野」「リスク分野」「品質分野」。
マーケティング分野においては、生活とインターネットの距離が縮まることでウェブマーケティングの重要性が高まっていることから、顧客の(買わない場合も含めた)購買動向を把握することが競争力の源泉となったり、差別化につながったりするという。また、リスク分野では、たとえば金融業界では規制が非常に厳しくなってきており、リスク計量の高度化と精細化が求められている。品質分野では、ウェブ上での製品の評判や評価を早期に察知、認知することで、迅速な対応が可能になる。対応が素早くなれば、不具合が発生した製品の生産をすぐに止める、あるいは部品を改良するなどして、対策費用を削減できることになるという。
こうした領域で“分析”に対する需要が高まっているというが、宮田氏によれば、「ニーズの拡大は、(人材の)数だけでなく、スキルレベルといった質の向上も求められている」のだという。
宮田氏は、「SASを使いこなすプロフェッショナルが増えることで、お客様の企業力向上に少しでも貢献したい」と述べ、課題解決のための“分析”の重要性を訴えている。
米SAS Instituteは、1999年から「SAS Global Certification Program」を提供しており、現時点では2万8000人が資格を有しているという。日本では2006年から英語版を提供していた。