クラウドコンピューティングのスケールメリット--大規模プロバイダーを選ぶ利点 - (page 2)

文:James Urquhart(Special to CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル

2010-08-11 07:00

 Hamilton氏のプレゼンテーションの要点を以下に紹介する。

  • 平均的な企業よりも大規模サービスプロバイダーの方が、あらゆるものを(おそらく)安いコストで提供できる。これは「スケールメリットの初級講座」で教わるようなことだ。しかし、Hamilton氏はこの命題を裏付ける独自のデータを示し、平均的な企業のサーバ、ネットワーキング、管理のコストは、大規模プロバイダーのコストの5〜7倍になると主張した。Hamilton氏はこのデータのソースは明示しなかったが、企業の評価については筆者も同意見だ。

  • データセンター運用のコストでまず挙げられるものは、サーバのコストとサーバに電力を供給するコストだ。Hamilton氏は、サーバの電力コストとサーバ自体のコストの対比に関して一部のベンダーが主張してきたことと幾分異なるコスト計算を示し、データセンターの10年という寿命(サーバ、ネットワーキング、データセンター自体を適切なサイクルで償却している場合)のなかでは、サーバ自体のコストが非常に大きな部分(54%)を占めており、サーバが消費する電力の実際のコストは小さな割合(11%)でしかない理由を説明した。しかし、サーバへの電力供給コスト(とサーバの冷却コスト)を追加すると、サーバの電力に関するコストは大幅に増大する(34%)。つまり、サーバとデータセンターの電力と冷却の設備から、より大きな価値を得ることに注力すれば、データセンター事業者は投資金額あたりの効果を最大化できるということだ。

  • サーバの電源を切ることは、サーバを常時フル活用することに比べると経済効率が低い。Hamilton氏は、Amazonがスポット料金モデルを採用するに至った経緯を説明した。Amazonが同社のサーバを常時稼働させ、料金を支払っている顧客がそれらのサーバを利用できれば、経済的な観点から見て非常に好都合だ。スポット料金モデルは利用を促進するほか、リソースがほかの目的に必要になった際にリソースの再利用も可能にする。もちろん、既にご存じのこととは思うが。

  • 大規模なコンピューティングプロバイダーとそのベンダーの関係は、ユーザーとベンダーの関係とは異なる。まず、膨大な量を取り引きするので、価格が安くなる。しかし、そのように量が多いことから、サーバベンダーはカスタムサーバ設計に関しても、積極的に大規模プロバイダーと協力している。そのため、市販のコンポーネントを使用するよりも、はるかに効率的になる。

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