それを実現する最も簡単な方法は、いくつかの基本的な原則を把握することだ。その多くは何十年も前から知られているもので、中にはクラウドコンピューティングモデルで痛々しいほど明白になっているものもある。
サーバではなく、アプリケーションに注力する。筆者は以前、開発者と運用チームの両方が仮想化とクラウドによって、「導入単位」をベアメタルサーバからアプリケーション自体へ変更することを余儀なくされている理由について説明した。これは重要な概念である。なぜなら、アプリケーションは先述のトライアングルに含まれる3つの環境すべてにおいて管理することが可能だからだ。
それはどのようなものだろうか。仮想化はアプリケーション管理を大幅に簡素化する。単一のアプリケーション、あるいは単一のパーティションやサービスについて、VMイメージを構築できるからだ。その点においては、「運用」されている単位はVMではなく、ファイルシステムや、そのVM内で実行されているアプリケーションコード自体である。
したがって、アプリケーションを社内のVMwareベースの環境からXenベースのクラウドプロバイダーへ移行する際に課題となるのは、単に同じファイルシステム、あるいはアプリケーション自体だけを新しいインフラストラクチャで機能させることだ。これは今日の大半のIT組織にとって自然なことだろうか。答えはノーだ。しかし、こういう考え方をするように努めることは、ハイブリッドIT環境において極めて大きな利点となる。
ペイロード運用をインフラストラクチャ運用から切り離す。これも以前主張したことだが、クラウドによって、運用の役割は従来型の「サーバ、ネットワーク、ストレージ」のサイロから、より水平的な「アプリケーション」と「インフラストラクチャ」の指定へと変化することを余儀なくされている。
インフラストラクチャ運用担当者は、データセンターやキャンパスネットワークなどを構成する「ハードスケープ(サーバ、ストレージデバイス、スイッチなど)」を運用する。さらに、仮想化プラットフォームやIT管理システムなど、リソース消費の自動化と監視を行うソフトウェアシステムの管理も行う。
アプリケーション運用担当者は、ソフトウェア機能をエンドユーザーやほかのアプリケーションシステムに提供するのに必要なコードやデータ、接続への注力を強化する。アプリケーション運用担当者は、アプリケーションを配備する場所や、配備後にそれらを運用する方法を決定しなければならない。パブリッククラウドシステムはアプリケーション運用担当者がベアメタルにアクセスすることを認めないため、その「ハードスケープ」へのアクセスに依存しないプロセスを設計しなければならない。
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