外資系IT企業の日本人エグゼクティブが持つべき10の資質 - (page 3)

富永恭子(ロビンソン)

2010-09-13 09:00

#8:日本企業の要望を腑に落とすための「サラリーマン根性」

 外資系企業を目指す人の中には、海外の大学で取得したMBAを武器にしている人もいるだろう。しかし、外資系企業が人を採用するときに最も注目するのは、その人が社会人になってから最初に就職した会社と、そこで受けた社員教育の内容だという。つまり、外資系企業で尊重されるのは、「企業での就労経験」ということだ。それが、経営者だけでなく、外資系企業において、中途採用が多い理由でもある。

 特に、日本企業を顧客とする以上、その文化や振る舞いを理解していなければ、営業もマーケティングもできない。語弊があるかもしれないが、あくまでも肯定的な意味での「サラリーマン根性」がそこで必要となる。

 つまり、自分たちの商品を買ってくれた顧客企業が、どういう場合に嬉しいのか、あるいは嬉しくないのかを「腑に落として」理解するためには、やはり日本企業でのサラリーマン経験がものをいうということだ。

 従って、海外企業が日本法人でエグゼクティブを採用する際には、日本企業、もしくは日本企業に相当するような日本に根付いた外資系企業での経験を持つ人の方が好ましいということになる。特にエンタープライズIT系の会社において、その傾向は強いようだ。

#9:意外なことに必要な日本的「人事労務経験」

 外資系企業に限った話ではないが、例えば米国企業の場合、レイオフや指名解雇などは思った以上に頻繁に行われる。しかもそれは、「即日解雇」だったりする。

 「解雇言い渡しは、必ず金曜日の午前8時から9時の間に行え」というコモンセンスまであると聞く。そして、翌週の月曜日の朝の会議には「ここに残った君たちはセーフだ。おめでとう!」と明るく社員を励ましたりするのだそうだ。

 日本の労働環境にも問題がないわけではないが、少なくとも米国式の即日解雇を実行したりすれば、道義的にも、法律的にもとんでもない事態になることは明白だ。しかし、そんなことを本社のトップは理解しておらず、平気でそれを実行しろという命が下ったりする。そんな場合は、日本にある企業としての信頼を保つためにも、本社の命令に対して異議を申し立てることも必要になる。

 そのためには、日本の法律や労働環境、労働委員会がどのような判断をするのかをわかった上で、本社とすべき交渉を行わなければならないし、また、必要があれば、日本の古い労働習慣も変えていかなければならない。外資系ばかり渡り歩いてきた経験しかない人事労務担当者の場合、どうしても海外の習慣に迎合しがちになってしまう。営業一筋の人も、こと営業に関してはその経験を発揮できても、経営者ともなるとそれだけではすまない。無用な労働争議を起こさぬよう本社との折り合いをつけるためにも、外資系企業の経営者には日本の人事労務の経験や知識が必須となる。

#10:環境の変化を感じ取る「察知力」

 トップが変わると、企業の中の雰囲気がガラリと変わってしまうのも外資系企業の特徴だ。また、新たなトップの「系列」によって、人事が大きく入れ替わることもあるという。外資系企業ではトップの決定を重視して動いている。経営者が「あいつはいい奴だ」といった一言で、昇格が決定したりするという。特に米国人のトップは、気に入った人材を連れ歩く傾向が強い上に、前任者との違いを出すために、まず人事に着手する傾向が強いため、属人的人事も多いと聞く。

 当然、本社のトップが入れ代われば、日本法人の経営者の地位も安泰とは言い難い。外資系企業の経営者には、自社がどのくらいの頻度で本社のトップを入れ替えているかを注視し、環境の変化をすばやく察知して、対応する力も重要だ。

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