IT業界が新たな世界へと変革する中で、ITリーダーやCIOは何をすべきなのか。ガートナー ジャパン主催のイベント「Gartner Symposium ITxpo 2010」にて、同社のアナリストらが提言した。
まず、ガートナー リサーチ ジャパン リサーチ部門代表 バイス プレジデントの山野井聡氏が登場し、現在起こっている変化について語った。同氏が指摘したのは、ソーシャルメディアなどの普及でインターネットの情報量が爆発的に増え、ユーザーが容易に情報を得られるようになったこと、そしてそれに伴いIT部門の役目が変化しつつあることだ。
「これまでITの導入は、IT部門が主導権を握っていた。しかし今では直接インターネットから情報を得ることで、企業の提供するITサービスについて消費者や顧客がIT担当者よりもよく知っていることさえあるほどだ。FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアの普及や、モバイルデバイスの利用者増加によって、クレーム情報を含むあらゆる情報がすぐに入手できてしまう。1日にインターネット上で流れる情報量は15ペタバイトとも言われている。これをビジネスチャンスとして受け入れ、企業の内と外を隔てる壁をまず低くしなくてはならない」(山野井氏)
このように、情報がオープン化され誰もが情報を入手できる時代において、個人の力が増していることを山野井氏は指摘。しかも、単にITに投資するだけで業績に結びつくわけではないなど、山野井氏はITリーダーにとって厳しい現実を突きつけた。
こうした変化が起こっている中で、ITリーダーは何をすべきなのか。次に登場したガートナー リサーチ バイスプレジデントの堀内秀明氏が3つの新たなルールについて説明した。
堀内氏の言う新たなルールとは、スマートコントロール、ITダイナミズム、インテリジェントビジネスの3点だ。
スマートコントロールとは、これまでIT部門がすべてを抱え込む「コマンド&コントロール」(命令と管理)の体制を取っていたことに対する言葉で、「すべてを抱え込むのではなく、ある程度ユーザーに任せて上手に管理する」という意味だ。
「IT部門は、ユーザーの要求を聞いて開発から導入まですべて担当していたが、ユーザーの要件は常に変化し、IT部門とユーザーの間で対立の図式が生まれていた。しかしITの敷居は低くなってきており、ソーシャルメディアの普及によって大規模な変革もユーザー部門である程度は取り組みができるようになった。この状況を阻止することはできない。となれば、IT部門がすべてを抱え込むのではなく、スマートにコントロールすれば良いのだ」(堀内氏)