Chatter上でAさんが「フランチャイズの販促の方法を知っている人はいますか?」と問いかけた。これは単にAさんの友人がフランチャイズ展開する企業に勤めており、フランチャイズの販促方法を知りたがっていたという理由からなのだが、この問いかけに対し、社内のある人は「フランチャイズを担当している営業が社内にいるので詳しいのでは?」とアドバイス。また、フランチャイズ店舗に特化したグループウェアを販売している部署の担当者は「グループウェアを紹介する余地があれば紹介してほしい」と、販売機会につなげようとした。また別の人は「昔フランチャイズ展開している学習塾で講師をしていたが、その頃はこのような方法で販促していた」と発言し、通常の業務では知り得なかった情報が集まってきたという。
メールマガジンではこうしたやりとりを例に挙げ、「社内の誰が知っているかわからないトピックでも、思わぬところから情報が飛び出してくる。答えがガラス張りになるため、それに対するコメントもつく。また、同じトピックに詳しい人からの意見が複数集まることで、フランチャイズ業界に対する考察ができたのではないか」と解説した。このようなメールマガジンを、初期の段階では週に一度、現在でも数週間に一度発行しているという。
社長の参加や、初心者に対するケアも定着化に結びつく
社長をはじめとする経営層をChatterの場に巻き込むことも、ツールの普及促進に役立つと上田氏は語る。ネクスウェイでは、代表取締役社長の富加見順氏もChatterを積極的に活用しており、出勤後10分間はChatterタイムとして現場に関係のありそうなトピックを書き込んだり情報収集したりする時間にあてているという。
「社長がパートナーと会いに行く前に、営業に近況を問いかけることもある。その時にはさまざまな担当者からどのような案件を商談中か、すぐに情報が集まってくる。また、営業がアプローチしている企業に社長の知り合いがいることもあるが、現場では社長の交友関係がわからないため直接営業をかける。それをChatter上で知った社長が、知り合いを紹介してくれることもある」(上田氏)
また、上田氏はChatter初参加の人たちにその良さを理解してもらうため、地道な努力も怠らなかった。「新しいツールに抵抗のある人は社内にも多い。今までChatterを使っていなかった人が初投稿した時には、24時間以内に何らかのコメントや回答がつかないと今後の継続利用につながらない可能性もあるかと思い、時間が経過しても何もコメントがつかない時には適切な人に何らかのコメントをつけてもらうようお願いすることもあった」と上田氏は明かす。
こうして地道にアクティブユーザーを増やす努力を続けた上田氏だが、「今では現場から『このような使い方もできるのでは?』という声が上がるようになった。例えば、Chatterのグループ機能を使って商品ごとにグループを作り、その中でユーザーからの意見や競合情報を共有する場ができた。Chatterの便利さを皆が理解すれば、自然にChatterは活性化する」と話す。