マイクロソフトとリコー、リコージャパンは1月25日、クラウド分野で提携することを発表した。マイクロソフトの企業向けクラウドサービスをリコージャパンを中心としたリコーグループが販売する。
「Exchange Online」や「SharePoint Online」などにリコーのヘルプデスクや導入支援サービスを組み込んだソリューションを提供する。国内約9万事業所の提供実績があるという、リコーの中小企業向け情報システム構築保守サービス「NETBegin BBパック Select」と組み合わせて提供することで、今後3年間で全国20万ユーザーへの提供を目指す。
リコーグループは、今回のクラウドサービスの展開で、ユーザー企業内にサーバを設置して利用するオンプレミスで実績のある販売、サービス体制をクラウドビジネスでも展開する。マイクロソフトはリコーグループと協力して、全国のリコーグループの営業スタッフとエンジニア約1万1700人の製品や技術の理解を向上させるためのトレーニングを提供する。マイクロソフトの中堅中小企業向け情報サイト「スマートビジネスセンター」での情報提供や共同セミナーの開催など、リコーグループとマイクロソフトが提携して、販売促進、販売、ユーザー企業サポートを推進していくとしている。
リコージャパンは、2010年7月にリコーの販売事業部や地域販売会社7社を再編して設立。リコージャパンを中心としたリコーグループの販売拠点は310、人員数は約7700人、サービス拠点は386、人員数は約4000人。同社代表取締役社長の畠中健二氏は、そうした販売サポート網を「日本全域をカバーしており、業界随一と評価されている」と表現、その強みを強調している。
リコーグループのソリューション事業は、「国内トップクラスの販売量」(畠中氏)というソフトウェアやハードウェアとともに、「ITKeeper」を中心に展開されているITサービスから構成される。NETBegin BBパック Selectはネット接続に必要な機器の提供から設定、保守サービスまでをワンストップで提供しており、販売数は2010年上半期で8万6000、2011年3月末の目標は10万となっている。今回のマイクロソフトのクラウドサービスは、このNETBegin BBパック Selectのオプションとしても提供する方針だ。
マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏はリコーグループについて「年間100億円というビジネス規模のパートナー」と説明。また「国内有数のラージアカウントリセラー(LAR)」(樋口氏)として大きなパートナー企業であることも強調している。今回のクラウドサービスの提携で、リコージャパンのマイクロソフト製品の年間売上高を「3年以内に現在の2倍の200億円に拡大する計画」(樋口氏)だとしている。
樋口氏は、中小企業のクラウド活用が進んでいないことが、今回の提携の背景にあると説明。「本来のクラウド活用のメリットは企業規模や地域に左右されないはずだが、全国の中小企業でのクラウド活用が進んでいない」(樋口氏)。理由としては経営者への情報提供不足、IT管理者不在やスキルの不足、地場でのパートナー不足を挙げている。樋口氏は「全国の中小企業向けの販売やサポートに実績のあるリコーグループとの協業を通じてクラウドの活用を急拡大させていく」と説明する。
「リアルなリコーグループのITサービスと、マイクロソフトのクラウドサービスを組み合わせることで、すべてのお客さまへ進化したクラウドサービスの価値を提供する」(畠中氏)
マイクロソフトの企業向けクラウドサービスは現在、Exchange OnlineやSharePoint Onlineのほか、ユニファイドコミュニケーションの「Lync Online」も用意。2011年内に、これらにオフィスソフト群「Office Professional Plus」を組み合わせたクラウドサービス「Office 365」も提供する予定だ。リコーグループも、これらのサービスも販売していく方針だ。