iPadでも「SaaS」がキーワードか
iOSで「アプリ」というと、Appleの審査を経てApp Storeで販売されるそれを連想しがちだが、企業にかぎっては独自開発/流通の余地がある。今後iPadが企業向けに普及するにあたっては、そのApp Storeを経由しない「企業内専用アプリ」の開発と、関連するネットワークサービスをも含めたSaaS形態での利活用がキーワードになると予想される。
Appleが提供する開発者向けプログラムには、個人向けと企業向けの2系統があり、そのうち企業向けには年間参加費1万800円の「iOSデベロッパプログラム」と、同3万3800円の「iOSデベロッパエンタープライズプログラム」の2つがある。後者の場合、開発したアプリはApp Storeを経由させることなく、「iPhone構成ユーティリティ」などのツールを利用して直接iPad/iPhoneに配布できるため、審査という制約なしに、かつ迅速に企業内でアプリを活用できる道が拓ける。
このように、自社に開発部隊を抱える企業はただちに取り組めるiPad/iPhoneの活用だが、端末台数が増えればスムースな運用は難しくなる。ソフトバンクテレコムが4月27日に発表した「ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント」は、まさにこの点に着目したサービスで、端末ごとのセキュリティ対策や社内専用アプリの配布といったデバイスマネジメントを遠隔から一元処理できるというもの。導入する端末の数が増えれば、この手のSaaSの導入は不可欠だろう。
冒頭で挙げたiPadの活用事例も、iOSの機能をフルに発揮できる専用アプリという加勢のもと、さらにSaaSによるバックエンドの拡張が施されれば、また新たな可能性が生まれてくるに違いない。現状は未サポートだが、Office 365のようなサービスもiPadに対応する余地はあるはず(関連記事)。その意味で、「電子カルテ」はiPadの企業における活用の始まりに過ぎないのではなかろうか。
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