ダイセル、国際会計基準対応でグループ統一システム導入--業績把握を四半期から月次へ

富永恭子 (ロビンソン)

2011-07-05 19:51

 化学品メーカーのダイセル化学工業は、国際会計基準(IFRS)に対応するためグループ統一会計システム「DivaSystem GEXSUS」の導入を決定した。ディーバが7月5日に発表した。

 ダイセル化学工業は、約50社の子会社との連結決算業務を連結会計システム「DivaSystem」を活用していた。IFRS対応を機に、これまで四半期だったグループの連結業績を月次で把握するのと、国内主要子会社や海外子会社との決算期統一を視野に入れ、システム刷新を検討してきた。

 その中で、四半期から月次で連結情報を作成するには、現在のままでは3倍の業務量になる試算結果がでたという。DivaSystemに入力するセグメント情報などの作成で、表計算ソフトでの属人化された作業が散在しており、容易に標準化できないことがわかったとしている。多様な切り口で連結情報を可視化して分析するためには、会計情報だけではなく販売実績など基幹系システムが持つ情報もグループ間での統合が必要だが、それらのデータを集める基盤もなく、連結情報を経営層の意思決定に十分に活かしきれないことも判明していた。

 これらの課題を解決するため、同社はシステム的な対応として、基幹システム改修で対応する部分と連結決算システム強化で対応する部分とに区別し、後者に関して現在利用しているDivaSystemにDivaSystem GEXSUSを組み合わせた新システムを構築することを決定している。

 DivaSystem GEXSUSは、IFRS対応を早期にかつ高いROIで実現できるというグループ統一会計システムとして2010年9月から発売されており、既存の連結決算システム同様に親会社の情報システム基盤上に構築される。DivaSystem GEXSUSは、取り扱うデータを個別会計の仕訳レベルまで、システムの利用者をグループ子会社の個別会計担当者にまで広げ、企業グループのIFRS対応で子会社を含むグループ各社の個別会計システムを見直しせずに、グループ各社が主体となって自社決算数値をIFRSに対応させられるのが特徴だとしている。

 DivaSystem GEXSUSの採用では、各子会社の会計システムで保持している仕訳帳データを自動で収集し、DivaSystemへ連携できるため、月次での連結業績把握にかかる業務量を削減できることが評価されたという。IFRS対応の中でも基幹システムの改修では対応しきれない、国内主要子会社や海外子会社との決算期の違いによる差異を解消できること、表計算ソフトによる計算や配賦業務などをDivaSystem GEXSUSに任せることで属人化を排除し業務標準化を促進できることなども採用のポイントになったという。

 DivaSystem GEXSUSに統合されたグループ会計情報と販売情報などは、統合データ活用ソリューションである「DivaSystem MIPS」にデータ連携される。DivaSystem MIPSは、単体会計や連結会計などの各種財務情報に加えて、子会社や支社、支店、工場まで含めた企業グループ全体の販売や生産、在庫などのデータを統合、顧客単位や製品単位での詳細にデータを分析できるという。多様な切り口でグラフィカルに可視化して分析でき、経営の意思決定を支援できることも評価されたとしている。

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