Ubuntuは世界中に多くのファンを持つLinuxディストリビューションだ。2004年に初の正式版をローンチして以来、着実にファンを増やしてきた。4月にリリースした「Ubuntu 11.04(Natty Narwhal)」のダウンロードは500万〜1億、ダウンロード件数はリリース毎に増えているという。
WindowsやMacの代替ではなく、Ubuntuという独自のディストリビューションを目指すというコミュニティの長い取り組み。Ubuntuを支援する英Canonicalでコミュニケーション担当ディレクターを務めるGerry Carr氏に、Ubuntu 11.04で導入された機能、エンタープライズ(企業向け)戦略、ビジネスなどについて話を聞いた。
--Ubuntu 11.04で新UI「Unity」を導入した背景は何か
Ubuntuユーザーのエクスペリエンスを、われわれが責任をもって改善していくという決断を示すものです。
これまでUbuntuは、オープンソースのさまざまな技術を組み合わせて素晴らしいディストリビューションを作成し、成功を収めてきました。しかし、ルック&フィール、インタラクション、アプリケーションの一貫性などでギャップが生じていました。たとえば、GNOME ShellはGNOMEアプリケーションではきちんと機能しますが、それ以外ではそうでもなかったのです。
全体のエクスペリエンス改善を我々が管理していくためには、独自のUIが必要でした。2〜3年前にこのような結論に達し、デザイナーを起用するなどしてユーザー中心のデザイン開発の取り組みを進めました。さまざまな取り組みを“Unity”として正式にブランディングし、導入したのがUbuntu 11.04です。今後、反応を見ながら次期LTSに向けて作業を進めていきます。
Ubuntu 11.04では、3Dドライバに対応していない場合はUbuntu 10.10のインターフェースとなります。開発中のUbuntu 11.10では、未対応の場合は「Ubuntu 2D」となり、対応している場合は「Ubuntu 3D」となります。
--デスクトップ向けのLinuxは、それほど普及が進んでいない。WindowsやMac OSなど他のOSと比較した場合、Ubuntuの現状をどう考えているか
比較はできません。しかし、Ubuntuを含むデスクトップLinux分野全体の課題として「我々は代替である」ことが挙げられます。