企業がクラウドを導入するにあたって必ず課題となるのがセキュリティだ。しかし、結局のところ、セキュリティの責任は誰が持つのだろうか?
8月5日、その本音を語りあうため、クラウド事業者とユーザー企業の直接交流の場が設けられた。呼びかけ人は、トレンドマイクロだ。
参加者は、クラウド事業者側から4名、ユーザー企業側から4名の計8名。中にはクラウドを利用して企業向けサービスを提供しているという、事業者かつユーザー企業の参加者もおり、クラウドに関わるさまざまな立場の人が集まった交流会となった。
オブザーバーとして、ノークリサーチのシニアアナリスト 岩上由高氏の参加も急きょ決定。岩上氏は終了後、「実に新鮮で興味深い議論だった」と振り返っている。
早くも意見が分かれた「責任の所在」
クラウドのセキュリティは誰が担当すべきか?−−
冒頭、この設問に対して会場の意見を集約した。その結果、
- 3人:事業者がデフォルト機能として用意すべき
- 3人:事業者がアドオンとして提供すべき
- 1人:どちらとも言えない
と、ちょうど半々に分かれた。
「どちらとも言えない」と答えたのは著名クラウドサービス事業者。「なぜ事業者か利用者の片方に偏らせるのか。双方で行うべきだ」というのが理由だ。これを聞いた複数の参加者からは「あえて言うならば、ということで答えたが、確かにどちらとも言えない」との共感も聞かれ、早くも明確な線引きが難しい実情が浮かび上がった。
なお今回の交流会に先立ち、ZDNet Japanではアンケート調査を実施。「クラウドのセキュリティは誰が責任を持つべきか」との問いに、全回答者157人の61.5%にあたる96人が「クラウド事業者」と答えている。
回答者の内訳は、クラウドサービス利用者が129人(82.12%)、クラウドサービス事業者は28人(17.83%)。利用者の目線では、事業者側にセキュリティの責任を求める傾向があるようだ。なおクラウド事業者自身も25人中の半数以上にあたる15人が「クラウド事業者」と回答している。