OSより下のレイヤでもプレゼンスを発揮したいオラクルの戦略 - (page 2)

田中好伸 (編集部) 2011年10月19日 12時44分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

ダウンタイムゼロでパッチを適用

 Oracle Linuxでは「Ksplice」と呼ばれる機能も提供される。この機能は、システムを停止させることなくLinuxにパッチを適用させるためのものだ。現在、Linuxをベースにした企業の情報システムの場合、セキュリティパッチを適用するには「課題がある」とScreven氏は説明する。

 セキュリティパッチがリリースされた後、そのアプリケーションのオーナーとサービス停止時間を交渉することになる。つまりリリースされてから「数日あるいは数週間後」(Screven氏)に、アプリケーションサーバとデータベースサーバをシャットダウンしてからLinuxにパッチを適用、全サーバを再起動し、動作を確認するという流れだ。

「セキュリティパッチは適用されたものの、システムの脆弱性は数日から数週間放置される状況だ。適用するためにアプリケーションのダウンタイムも無視できるものではない」(Screven氏)

 Kspliceの機能を活用すれば、こうしたダウンタイムをゼロにすることができる。Oracleが通常のカーネルパッチを作成し、Kspliceでゼロダウンタイムアップデート用にカーネルパッチを変換する。変換されたカーネルパッチを同社の「Unbreakable Linux Network」経由でユーザー企業は受け取り、Kspliceクライアント経由で稼働中のシステムにパッチを適用することになる。Screven氏は「Oracle Linuxだけがゼロダウンタイムでパッチを適用できる」と、そのメリットを強調する。

図1 機能やサポート体制も含めた比較
※クリックすると拡大画像が見られます

 Kspliceは、サポートサービス「Oracle Premier Support」を契約するユーザー企業が利用できる。Screven氏はOracle Linuxと競合のRed Hat Enterprise Linuxのサポートサービスを比較して、Oracleの方がより多くのサービスをより安いコストで提供できると、その優位性を強調している。

 Screven氏はOracle Linuxについて「OracleがOracle製ソフトウェア向けに推奨するLinux」と説明。同社のデータベースサーバ専用機「Oracle Exadata Database Machine」やアプリケーションサーバ専用機「Oracle Exalogic Elastic Cloud」、10月上旬に開催された同社イベント「Oracle OpenWorld 2011」で発表されたビジネスインテリジェンス(BI)専用機「Oracle Exalytics Business Intelligence Machine」とビッグデータ専用アプライアンス「Oracle Big Data Appliance」は、OSとしてOracle Linuxを基盤にしており、「ExadataやExalogic、Exalyticsのパフォーマンスを最大限引き出す」(Screven氏)という。

本番環境のワークロードに最適化

 一方のサーバ向けハイパーバイザのOracle VMはライブマイグレーションや高可用性、動的なリソース管理、電源管理の自動化といった機能を搭載している。ゲストOSとしてはOracle LinuxとOracle Solaris、Microsoft Windowsをサポートし、x86とSPARCという2つのアーキテクチャ向けが提供されている。

 Oracle VMはOracle Linuxと同様に、Oracle製品に最適化されており、「本番環境のデータベースとミドルウェアのワークロードを動かすために設計されている」(Screven氏)という。Oracle VMもまた、Exalogicなどのハードウェアとソフトウェアを一体化して開発する、同社独自の開発コンセプト“Engineered System”に基づいた製品群に採用されている。

 新版のOracle VM 3.0では、管理ツールの「Oracle VM Manager」が大幅に改良されている。ポリシーベースで電源やリソースの管理が可能になるとともに、ネットワークとストレージの構成を集中管理できるようにもなっている。1つのコンソールで複数の仮想マシン(VM)を管理できるようにもなっている。

 1VMあたり128の仮想CPU、メモリ1Tバイトをサポートする性能が強化されたOracle VM 3.0ではまた、異なるハイパーバイザ同士でVMのイメージファイルをやり取りするための標準フォーマット「Open Virtualization Format(OVF)」に対応、OVFに準拠したVMイメージをVM Managerからインポートできる。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
月刊 Windows 10移行の心・技・体
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
セキュリティインシデント対応の現場
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft Inspire
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]