IDC Japanは12月27日、2011年第3四半期(7~9月)の国内モバイル端末市場動向を発表した。スマートフォンの出荷台数は前年の3.4倍となる530万台となっている。
7~9月のスマートフォン市場は「iPhone 4S」の投入直前だったため、買い控えが影響して、Appleの出荷台数が減少。だが、NTTドコモとKDDIの積極的販売促進によるプラス効果、Android搭載スマートフォン端末のラインアップ充実などもあって、市場は大きく拡大したという。ベンダー別では「Xperia」シリーズを継続的に供給しているソニーエリクソンが大きくシェアを伸ばしたとしている。
タブレットでは、「iPad 2」や各社の新規モデルの市場投入があったこと、ソフトバンクによる販売奨励金の上積み効果もあって、総出荷台数は前年の2.3倍となる42万台となっている。タブレット市場の出荷台数は拡大傾向にあるが、iPad 2以外にヒット端末が存在しないことも影響して、市場では継続的に供給過多が続き、在庫問題の懸念を抱えている状況にあるとみている。
個人向けの3Gルータ端末では、市場のけん引役であるイー・モバイル以外にソフトバンクやドコモが積極的な販売戦略を展開していること、利便性を含めた使い勝手の良さがユーザーから評価され、顧客層が広がり始めていることなどの要因から、出荷台数ベースで前年同期比81.7%増の67万台と大きくプラス成長を記録している。

スマートフォン市場の予測については、現段階ですでにスマートフォンの出荷比率が50%超になっていること、通信事業者の積極的な販売戦略が継続される可能性が高いことなどから、今後も需要の成長が続くと見込まれている。2012年には2870万台にまで拡大し、2015年には3403万台に達すると予測している。
同社のPC、携帯端末&クライアントソリューションシニアマーケットアナリストの木村融人氏は「2011年第4四半期(10~12月)はiPhoneがソフトバンクとKDDIから同時に投入されたことで、同端末の出荷台数は2倍に膨らむ可能性が高い」とコメント。タブレットについては「通信事業者の手厚い販売奨励金による需要喚起が期待できることで、2012年もプラス成長を続ける」と分析している。