IDC Japanは1月18日、国内Storage as a Service市場の調査結果を発表した。2010年の売上は226億1300万円で前年比8.3%の成長。2010年から2015年までの年間平均成長率は10.3%で、2015年の市場規模は369億円になると予測している。
国内のStorage as a Service市場は、2009年は売上208億7700万円で同4.9%の成長、2008年は198億1100万円で同4.8%の成長だった。
IDCではStorage as a Service市場の調査対象を「ストレージ製品(ハードウェア、ソフトウェア)を販売することなく、その利用のみを提供することで対価を得るサービスビジネス」と定義している。企業ユーザー向けの有料サービスとして、ストレージ利用の対価を得るサービスを調査しており、宣伝広告などを主な収入源として無償提供されているコンシューマー向けサービスは対象としていない。
2010年の国内Storage as a Service市場は、大手ITベンダーのクラウドサービスビジネスへの参入、Amazon Web Servicesの利用拡大などにより市場成長率が上昇した。また、東日本大震災がクラウドサービスの堅牢性を知らしめる契機になったとしており、Storage as a Serviceを利用したデータ保護の需要喚起につながったという。なかでもオンラインバックアップサービスでは間接販売のビジネスを軌道に乗せつつあるサービスが複数現れたことで、今後、国内のデータ保護ソリューション市場での地位確立を予見させる状況になったとしている。
また、2010年はファイル共有サービス市場に変化が起きたという。新規参入サービスが最新のストレージ製品やIaaSを利用し、これまでより低い容量単価でサービス提供を訴求したことにより、従来から国内で展開しているサービスが利用プランの見直しを図った。具体的な対抗策として、IDCでは利用可能な容量の拡大を挙げている。また、モバイル機器でのデータ共有やセキュリティ強化などの機能面の競争もあり、市場に再び活気が出てきたと分析している。
2011年はPaaSおよびIaaSの市場拡大とともに成長率が上昇し、売上が265億4700万円、前年比17.4%の成長と予測している。
IDC Japanでストレージシステムズ リサーチマネージャーを努める鈴木康介氏は、「国内Storage as a Service市場はここ数年、動きが停滞していたが、2011年は新規参入サービスプロバイダーの成長やPaaS利用の拡大などにより、成長が再加速している」と分析。「今後、スマートフォンやタブレットが業務で利用されるようになるとセキュアなファイル共有のニーズをStorage as a Serviceが支えることになると予測され、市場は大きく変化していくであろう」とコメントしている。