アサヒグループホールディングスは2011年11月からグループ内の事業会社向けにデータベース(DB)をクラウドサービスとして提供、その上で酒類営業支援システムを稼働させている。DB専用機「Oracle Exadata Database Machine」を基盤にしている。日本オラクルが2月16日に発表した。
アサヒグループホールディングスはアサヒビールを中核とするアサヒグループの持ち株会社。2011年7月から持ち株会社となっている。アサヒグループはグローバル経営を推進しており、その一環としてIT基盤を再構築して、変化対応力の強化とIT投資の最適化を目的にした「3Gプロジェクト」を進めている。
3Gプロジェクトは「Group、Global、Green」の頭文字を取ったもので、グループ全体でIT環境を最適化することを狙っている。グローバルでの競争力を高めるIT基盤を構築し、分散・重複するIT基盤やアプリケーションを統廃合しながら、環境に配慮したグリーンも促進していくという。
グループの共通IT基盤の構築プロジェクトの中で2011年5月にExadataの採用を決定している。ITの資産利用をサービス化することでグループ全体のITコストの削減とITの標準化を推進している。2011年11月にExadataを活用したグループ共通のIT基盤を構築したことで、グループ内の事業会社が利用できるDBクラウドサービスの提供を始めている。
新しいDBクラウドサービスの上に、アサヒビールの営業支援システムの稼働も始めている。新営業支援システムは全国の営業担当者約1300人が利用する。
新営業支援システムはExadataを活用して、従来は2時間かかっていた販売動向分析の参照処理を30秒に短縮するなど性能向上が実現している。Exadataのデータ圧縮技術「Exadata Hybrid Columnar Compression」を活用したことで3億件の明細データを10分の1に圧縮、ストレージの費用削減も実現できたとしている。
営業情報などを分析、レポートする基盤としてビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Oracle Business Intelligence」、システムの負荷テストと運用を効率化するためにテストツール「Oracle Application Testing Suite」、統合運用管理ツール「Oracle Enterprise Manager」も導入している。
プロジェクトでは、アサヒグループのアサヒプロマネジメントがシステムの企画と立案を担当、アサヒビジネスソリューションズが共通IT基盤の構築と保守運用を担当している。日本オラクルは、共通IT基盤と営業支援システムの構築手法についてコンサルティングなどを提供している。
今後アサヒグループホールディングスは、グループ内の事業会社と連携して、清涼飲料事業での営業支援システムの共通IT基盤への統合を進める予定。加えて、メインフレームやオフコンを基盤とした事業会社ごとの基幹系システムの共通IT基盤への統合も進め、マスタデータを統合することで情報の一元化やIT基盤の標準化も図る。
これらの施策で生産性向上と効率化、環境に配慮したCO2削減を目指すという。M&Aやグループ会社再編の環境変化に対して、柔軟かつ迅速に対応できるIT基盤を拡充していくとしている。