日本オラクルは4月6日、製造業のユーザーを多く持つERPパッケージ「JD Edwards EnterpriseOne」の最新版を発表した。IT部門の支援がなくても対話形式で作成できるリアルタイムレポート機能や、予測による自動提案検索機能など、ユーザーインタフェースを中心に改善した。ライフサイエンス分野向けの電子署名や機器履歴簿管理機能、消費財産業向けのGLN(Global Location Number)サポートなど、業界特化型の機能も盛り込んだ。
新製品「JD Edwards EnterpriseOne 9.1」の記者発表会で、米OracleのJD Edwards担当のグループバイスプレジデント、Lyle Ekdahl氏は、JD Edwardsの全ユーザー向けのリソースサイト「 UpgradeJDE.com」を紹介。オンラインアップグレードや技術カタログの閲覧、毎月8時間のクラスを受講できるなどのサービスを提供しているという。
Ekdahl氏は「工場の機械の生産状況など実行系データを取得して業務プロセスを管理することもできる」と話す
また、JD EdwardsはもともとIBMのオフィスコンピュータ向け会計ソフトとしてつくられた経緯があるため、主な稼動環境はIBMの旧AS/400およびiSeriesだった。それを踏まえ、Oracleは中小企業向けの「JD Edwards World」およびハイエンド向けのJD Edwards EnterpriseOneで「ExadataやExaLogicなどのOracle製品はもちろん、今後もiSeriesやデータベースのDB2などIBMの環境をネイティブサポートする」(Ekdahl氏)とした。
2003年の旧PeopleSoftによる旧JD Edwards買収から9年が過ぎたが、Oracleは永続的なサポートを宣言し、単体製品としての追加投資を続けてきた。発表会で同社はJD Edwardsを「新規顧客やインストールベースの面で最も成長しているERP」として紹介している。
なお、Oracleがリリースを開始したFusion Applicationsの製品ラインが充実した際に、JD Edwardsとの使い分けの基準を聞いた。Ekdahl氏は「JDEdwardsは、中小製造業を中心に例えばキュウリ農家などの業務もサポートしている。そうした細かい機能まで、Fusion Applicationsが提供するかどうかを見極めることで判断がつくのではないか」とコメントした。
JD Edwards EnterpriseOneの次回のメジャーアップグレードは2015年前後、その次は2018年あたりを予定している。