IBMが世界6カ国で同時発表した新製品「IBM PureSystems」は、日本IBMの橋本孝之社長が「ITの歴史的な転換点」と強調するように、さまざまな特徴をもった製品に仕上がった。
IBMは、顧客が選択した各社のCPUやOS、ハイパーバイザを組み合わせ、ハードウェアとソフトウェアを最適な形で統合してから出荷する。また、システムの用途や業種に特化したシステム情報「パターン」を提供することで、システムの導入と構築にかかる期間を大幅に短縮させるという。これらの特徴は、速報記事として掲載した「IBM、新ハードウェア『PureSystems』発表--『今後のITの方向性を占う重要な製品』」に詳しい。
IBM PureSystems
一方、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた製品は各社が提供しており、決して目新しいものではない。
Oracleが「Exa」を冠に掲げる「Exadata」「Exalogic」「Exalytics」は、システム製品の代表例といえる。また、Cisco SystemsとEMC、VMwareによる「Vblock Infrastructure Package」、そしてVblockに組み込まれるCiscoの「Unified Computing System(UCS)」もシステム製品だ。HPもサーバ、ストレージ、ネットワーク、運用管理ソフト、電源・冷却管理を一括して提供する「Converged Infrastructure」や、仮想化環境向けのシステム製品「HP VirtualSystem」などの製品を揃えている。
これらの競合製品とPure Systemsを明確に区別するのが「パターン」だ。前述したとおり、パターンはシステム情報が記述されたある種のテンプレート。しかし、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)もまた独自にアプリケーションのパターンを開発し、「IBM PureSystems Centre」を通じて配布できる。
Alex Yost氏
米IBMでSystem xとBladeCenterを担当するVice President兼Business Line ExecutiveのAlex Yost氏は、ZDNet Japanのインタビューで「ISV市場はイノベーションが求められており、競争も激しい。PureSystemsをISVにアナウンスしたところ、多くの企業がとてもエキサイティングだ、ぜひ貢献したいということで参加を決めてくれた」と述べている。
PureSystems Centreでは、既に100を超えるパターンが公開されている。たとえば、VMwareは「VMware vSphere ESX 4.1」を、Infor Global Solutionsは「Infor10 ERP Enterprise (Baan/LN)」などを、SugarCRMは同名のCRMアプリケーションを、Juniper Networksは「QFabric」などを提供中だ。また、IBM自身も「Data Mart Pattern」や「DB2 Enterprise Server Edition」など、5つのパターンを公開している。
ZDNet Japan編集部:Alex Yost氏には、新製品開発の背景や、PureSystemsによるベンダーロックインへの懸念なども聞いています。詳細なインタビューは後日掲載する予定です。
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