IDC Japanは4月24日、スマートフォンやメディアタブレット、PCを合算したモバイル/クライアントコンピューティング市場の世界と日本の違いを分析した結果を発表した。
家庭市場の人口あたりPC出荷台数比率を日本と欧米で比較すると、欧米は2000~2010年の間で人口に対する比率は6ポイント増加し、米国で約13%、欧州では約9%だが、日本は毎年5%前後とほぼフラットという。iモードをはじめとする携帯電話でのネット接続が日本では2000年前後から可能となり、PCの価格が高止まりしていることが背景にあると分析している。
家庭市場でのiPadなどのメディアタブレットの出荷台数は、世界の各地域で2011年4~6月時点でネットブックの出荷台数を上回っており、米国では同時期に13インチ以上のノートPCの出荷台数をも上回っているという。
米国では2011年4~6月に「iPad 2」が発売、2011年10~12月に「Kindle Fire」が発売されたことでメディアタブレット市場が活性化。米国ではすでに、電子書籍市場が確立されていること、Appleの強力なプロモーションでメディアタブレット市場が急速に伸びていることが背景にあるとみている。
モバイル/クライアントコンピューティング市場は、2010年10~12月まで米国が最大の市場だったが、2011年1~3月に日本を除くアジア太平洋地域(Asia Pacific excluding Japan:APeJ)地域が最大の市場となり、同時期には8000万台を超える市場にまで成長し、世界の3分の1を占めるとしている。
APeJでのAndroidベースのスマートフォン市場の拡大と中国を中心としたPC市場の拡大が寄与しているとみられる。世界市場での日本のシェアは2011年通年でみると約4.5%だが、スマートフォンの出荷が増えたことで、2011年10~12月は1170万台と初めて四半期で1000万台を超える出荷となり、市場が拡大していると説明している。
IDC Japanの浅野浩寿氏(PC、携帯端末&クライアントソリューションシニアマーケットアナリスト)は「日本の家庭市場でのPCは、欧米に比べて人口あたりPC出荷台数比率が低く、まだ伸びしろがあるマーケット」と説明。「PCベンダーはユーザーに対してスマートフォンやメディアタブレットを組み合わせて提案することで、ユーザーニーズを引き出す必要がある」と提言している。