IT業界はデータを中心とした形に関心
一方、EMC Worldで発表された、いくつかの製品についても日本での展開に言及した。
VMAX 40Kと同様に、6月8日から国内発売する仮想ストレージ「EMC VPLEX」は、「データセンターをまるごと仮想化するソリューション。データ保護ソリューションである“EMC RecoverPoint”との組み合わせによって、さらに高いレベルのハイブリッドクラウドの可用性と保護を提供する。“アクティブ-アクティブ”なデータセンターを実現し、複数のデータセンターの距離の問題を解決する。災害復旧保護環境を統合した業界初のソリューションにもなる。金融機関、製造業から高い評価を得ている」と説明する。
NASとSANをひとつの筐体に搭載するユニファイドストレージである「EMC VNX」の新版も日本に投入することを公表している。「全世界6000社、3万2000台が導入されている製品で、そのうち1Pバイトを超えるユーザーが160社に達している。世界的にこうした分野におけるニーズが高まっていることがわかる」(永長氏)と語った。具体的には、「VNXe3150」を2012年第3四半期(7~9月)に発売。ラックユニットあたりで50%のパフォーマンス向上と容量の増大を提供するという。
新たなVNX用ソフトウェアとして、ストレージ運用管理ソリューション「Unisphere Management」ファミリを投入。簡単なタスクバー操作や共通化したルックアンドフィールを提供するとともに、ストレージ管理時間の削減が可能になるという。
スケールアウトNASである「Isilon」シリーズについては、6月中旬に「X400」と「NL400」の2製品を発売。最大15.5Pバイトまで対応加納としている。
「スケールアウトによる拡張をしたいというニーズが高い。新製品は、従来製品に比べて20倍のスループットを提供。単一ファイルシステムとしては圧倒的。CADやCG、ビデオといった領域で性能を発揮し、EMCは一人勝ちの状況だといえる。今後は、ビッグデータだけでなく、エンタープライズ領域でもスケールアウト型のNASが活用され始める。それに向けて、セキュリティ強化、データ保護などの機能を“EMC Isilon OneFS”に追加。2012年後半に販売する」(永長氏)。Isilon OneFSの最新版は「Mavericks」と呼ばれており、エンタープライズデータセンターでの利用を視野に入れたものになる。
重複除外バックアップストレージの「EMC Data Domain」は、世界最速の重複排除機能を搭載したストレージシステムと位置付けている。
「EMCはこの市場において、全世界で64.7%、日本では82.5%のシェアを持つリーダー企業となっている。日本で7月中旬に販売を開始する“DD990”は、2倍のスピードと容量を持ち、既存の大型テープライブラリをまるごと収納できる規模になる。重複除外機能を持つ他社製品と比べても6倍の性能を持っており、バックアップ領域でもEMCの強みが発揮されることになる」(山野氏)
新たなパッケージの概念として提唱する「EMC VSPEX」は、7月中旬に正式発表することを明らかにした。山野氏はEMC VSPEXについて、こう説明する。
「これまでのEMCのビジネスは、インフラとして、ストレージを提供し、仮想化においてVMWareを提供し、あとはパートナーや顧客が組み上げるというもの。検証などはその度にパートナーなどが行う仕組みだった。一方で、VMware、Ciscoとともに提供している“Vblock”は、サーバやストレージ、ネットワークを一元化した形で提供してきたが、カスタマイズが難しいという課題があった。EMC VSPEXは、その中間に位置するもので、EMCのストレージを内蔵し、サーバやOS、アプリケーションを事前にEMCが検証してその情報を提供。パートナーがその中から最適なものを選択できる。パートナーは、取引のあるサーバベンダーやOSベンダーの製品と組み合わせて、安心して提供できるようになる」(山野氏)
こうした一連の製品群を発表した山野氏は、「今年1年間、まだまだ新たな製品を発表する。ビッグデータをはじめ、IT業界がデータを中心にした形で関心を高まっている。EMCは、今後もデータを中心として事業展開をしていく」と改めて強調した。