各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回はキヤノンシステムアンドサポート代表取締役社長の芦澤光二氏に話を聞いた。
ITソリューション事業の拡大が重要なテーマとなっているキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)グループにおいて、いち早く成果をあげているのがキヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)だ。
「主力のビジネスソリューション事業とともに、ITソリューション事業が当社のビジネスとしてようやく噛み合ってきた」と芦澤社長は語る。年内には約4000人の営業担当者にウルトラブックを所持させ、より戦略的なソリューション提案活動にもつなげる考えだ。
--長年に渡り、キヤノンMJでコンシューマ事業を担当していた芦澤氏が、ビジネスソリューション事業を担当してから約4年が経過しました。さらに同事業の最前線であるキヤノンS&Sの社長に2011年3月に就任し、1年以上が経過しています。もはやキヤノンMJグループにおけるビジネスソリューション事業の「顔」になってきましたね(笑)
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そうはいっても、私は営業の現場において1台の複写機も売ったことがありませんから(笑) 販売の最前線にあるキヤノンS&Sの社長に就任したときにも、「とにかく教えてほしい」という姿勢で取り組みました。
キヤノンS&Sは、知的体育会系集団です。箱根駅伝でもサッカーでも、頭を使わないと勝てない。ビジネスソリューション事業も同じです。頭を使う体育会系集団であることが、強い会社への近道だと考えています。顧客に支持される会社を目指し、キヤノンS&Sのファンをどんどん増やしていきたい。目指すべき姿は自由闊達であり、攻める会社。そして、実力主義の会社であるということです。また、ITインフラを最大限に活用し、現場力の高い会社を目指しています。
--先頃発表した2012年上期(2012年1〜6月)の決算では、黒字転換を果たしましたね
2011年上期の業績が営業利益で9億円の赤字であったのに対して、2012年上期は8億円の黒字に転換しました。キヤノンMJの連結業績においても、キヤノンS&Sが貢献しています。
キヤノンS&Sは今年の基本方針に「反転攻勢」「体質転換」「コストダウン効率化」「グループ力強化」「CSの向上」といったテーマを掲げています。その取り組みが上期の成果に結びついたものと考えています。
2011年上期は、東日本大震災の影響に加え、下期にはタイの洪水被害の影響もあり、商品を確保できないという問題にも直面しました。こうした厳しい状況から、2012年は「反転攻勢」して果敢に攻めていくことを徹底し、この姿勢が成果に結びついています。2012年の言葉は「万事好転ス」。これ以上悪くはならない。だから積極果敢に打って出る。ドキュメントビジネスでは、反転攻勢により利益ある成長を目指し、体質転換ではITソリューションやプロフェッショナルサービスを拡大する。そして、コストダウンや生産性の向上では、新規顧客開拓と深耕による顧客基盤の拡大を目指します。
とくに手応えを感じているのが、当社の主力ビジネスであるMFP(マルチファンクションプリンタ)やLBP(レーザービームプリンタ)、LFP(ラージフォーマットプリンタ)といったビジネスソリューション事業と、成長分野と位置づけている基幹業務、情報セキュリティ、ネットワーク構築、BCP(事業継続計画)対策などのITソリューション事業が、ようやく噛み合ってきたという点です。社内には、ITソリューション事業に取り組む「芽」といえるものはありました。それが、この上期には、お互いにシナジーを生む体制が整ってきたといえます。
--噛み合ってきたというのは、具体的にどんな点ですか