IDC Japanは10月23日、国内コラボレーティブソリューション市場でのユーザー企業の利用動向調査結果を発表した。企業向けソーシャルソフトウェア市場が拡大すると分析している。
同社の調査では、2011年のコラボレーティブアプリケーション市場は7月時点で前年比0.8%増の560億4400万円。IP会議システム市場は前年比8.3%増の242億2300万円となっている。
2011年は東日本大震災やタイの洪水などの災害や急激な円高など、国内経済状況にインパクトを与える事象が数多く発生しているが、同市場への影響は最小限にとどまっているとみている。こうした市場環境の中で、同社は企業のコラボレーティブソリューションの利用動向を従業員数十人以上の企業891社を対象に7月に調査している。
調査では、メールを自営あるいはSaaS/ASPの合計で85%を超える利用率、IP会議システムは25%程度と、2011年の調査から大きな変化はないという。その一方で、ソーシャルネットワーキングは、企業でのFacebook/Twitterなどのソーシャルメディアの利用率が36.9%に達し、2011年と比較して約10ポイントの上昇となっている。企業の内部で利用するソーシャルネットワーキングシステムの利用率は27.7%となり、ソーシャルメディアの利用率を比較すると、やや遅れていることが判明している。
企業内ソーシャルネットワーキングシステムの利用動向(出典:IDC Japan)
企業内部でのソーシャルネットワーキングシステムの利用意向は高く、現在検討中のユーザーも含め、今後数年で48.0%が利用を開始するとみている。導入しない理由としては「利用目的が不明確」とした企業が70%近くに達し、導入を阻害する最大の要因になっている。同社の眞鍋敬氏(ソフトウェア&セキュリティグループリサーチマネージャー)が以下のようにコメントしている。
「コラボレーティブソリューションベンダーと販売チャネルは、SaaSやビデオ会議、ウェブ会議、モバイルシステム連携などの成長市場へのリソースシフト、利用目的や費用対効果を明確にした企業向けソーシャルソフトウェアのマーケティングを推進することが市場成長の要因になる」