IDC Japanは10月29日、国内ビジネスアナリティクス(BA)ソフトウェア市場の2011年の実績と2016年までの予測を発表した。2011年の国内BA市場規模は前年比4.8%増の1371億7800万円。2011~2016年の年平均成長率(CAGR)は5.4%で、2016年の市場規模は1784億2600万円と予測している。
同社が定義するBAソフトウェア群の中で最も市場規模が大きいのは、データウェアハウス(DWH)で2011年は5.0%増。2番目に市場規模が大きいのは、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールで前年比4.9%増となっている。
3番目に市場規模が大きいのは、パフォーマンス管理やアナリティクスアプリケーションで前年比6.6%増であり、DWHやBIツールより高い成長となっている。特にワークフォースアナリティクスと顧客情報管理システム(CRM)アナリティクスは、パフォーマンス管理やアナリティクスアプリケーション群の中でも、今後の成長が見込まれる市場であり、2011~2016年のCAGRは2桁台で伸びると予測している。
BAソフトウェアを構成する、DWH、BIツール、パフォーマンス管理やアナリティクスアプリケーションは同市場全体の95%を占めている。現時点でBAソフトウェアに占める構成比は小さいものの、コンテンツ分析ツールは2011~2016年のCAGRが24.0%と最も高い成長を示すと予測している。これは構造化データだけでなく、SNSやコンタクトセンター、ウェブサイト上での「よくある質問(FAQ)」やレビューコメント、“顧客の声(VOC)”の素早い分析に対するIT投資が拡大すると分析している。
2011~2016年の国内BAソフトウェア市場の売上額予測(出典:IDC Japan)
国内のBAソフトウェアは経営層から現場層まで幅広く活用する機運が高まっており、2016年に向けて国内のITソリューションの中でも、高い成長率を見込む数少ない“伸び代”の領域であると分析している。だが世界のBAソフトウェア市場のCAGRは2桁台の伸びを示しており、欧米地域と比較しても国内のBAソフトウェア市場のCAGRは低いのが実情と説明。IDC Japanの赤城知子氏(ソフトウェア&セキュリティグループマネージャー)が以下のようにコメントしている。
「国内BAソフトウェアは世界市場と同様に、CAGRが2桁台で拡大する潜在的市場規模がある。だが、市場成長を阻む1つの要因は、企業のビジネスアナリストが欧米諸国に比べて圧倒的に不足している点にある。BAソフトウェアベンダーは、ビジネスアナリスト不在の企業でも活用可能なユーザーインターフェース(UI)、業務分析テンプレートの投入に注力する一方で、より高度なBAソフトウェアの活用を推進するために、企業経営層に対してビジネスアナリストの必要性を説き、専任者育成に向けた積極的投資を働きかける地道で継続的な活動が必要である」