Oracle Cloudは2011年の「Oracle OpenWorld(OOW)」で発表され(当時は「Oracle Public Cloud」)、2012年のOOWでIaaS機能が正式に発表されている。Shimp氏はOracle Cloudのミッションを以下のように説明する。
「オラクルが持つエンタープライズクラスのテクノロジとビジネスアプリケーションを、ネットワークを通じて世界中のお客様、パートナー様に提供する」
そのためにOracle CloudはIaaSやPaaS、SaaSに加えてソーシャルメディアを活用したものまで現段階で提供できるもののすべてを提供していると言える。Oracle CloudについてShimp氏は「機能とスタックは比類なき網羅性がある」という言葉で表現している。Oracle Cloudで提供されるのは、IaaSにあたるインフラストラクチャ、PaaSに相当するプラットフォーム、SaaSにあたるアプリケーションという3階層に加えて、ソーシャルメディアを活用するソーシャルという大きく4つのサービスで構成される。
アプリケーションサービスは「100以上のモジュール」(Shimp氏)が用意されており、人事管理や人材管理(“タレントマネジメント”とも言われる)、営業マーケティング系、顧客サービスとサポートといった分野で必要とされるさまざまな機能が提供される。
これらは、Oracleが数年間かけて開発したFusion Applicationsがベースとなっている。アプリケーションサービスは、サービス指向アーキテクチャ(SOA)をベースにJavaで実装され、BPELにも対応する。ユーザーインターフェース(UI)としてHTML5を使うことでウェブに加えて、モバイル端末でも使える。
「ビジネスインテリジェンス(BI)機能、ソーシャルメディア対応、モバイル活用といった機能が内包されている。他社はオプションで提供しているが、オラクルは標準で提供する」(Shimp氏)
Oracle CloudのPaaSであるプラットフォームサービスはJavaと「Oracle Database(DB)」が中心だ。ユーザー企業がオラクル製品で構築する「プライベートクラウドと全く同じ環境であり、(ユーザー企業は)アプリケーションに手を加えることなく利用できる。プライベートクラウドと透過的」(Shimp氏)というメリットを得られることになる。
プラットフォームサービスでは「データは完全に分離独立している。このことは最も重要だ。他社のPaaSはマルチテナントで提供しているが、これは10年前の新しい技術」という。これはクラウドで稼働するOracle DBであり、データとスキーマ、表のすべての領域は完全に分離されているという。ユーザーはSQLやPL/SQLを利用でき、REST形式のAPIでほかのシステムと連携することも可能であり、APEXも利用できる。
プラットフォームサービスのJavaサービスは「クラウド上で稼働するOracle WebLogic」(Shimp氏)だ。開発環境はオラクルの「JDeveloper」のほかにオープンソースソフトウェアの「Eclipse」や「NetBeans」にも対応している。データベースとJavaはセルフサービスで管理できる。
オラクルでは開発フレームワークとして「Oracle Application Developer Framework(ADF)」を提供している。モバイル端末への展開を簡素化するための「Oracle ADF Mobile」も用意している。
ADF Mobileを活用すれば、業務アプリケーションをAndroidとiOSのモバイル端末にJavaとHTML5で実装できる。ADF Mobileを活用すれば、「企業データのセキュリティをデータベース、ロジック、UIというすべての階層で担保できる」(Shimp氏)という。
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