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米Oracleは米国時間9月30日、予告通り、クラウドサービス「Oracle Cloud」にIaaSを追加した。同社が主催する年次カンファレンス「Oracle OpenWorld 2012」で発表した。
Oracleは既にOracle Cloudを通じて「Fusion CRM」「Fusion HCM」「Social Network」といったビジネスアプリケーションをSaaSとして提供していた。また、データベースを稼働させるための「Database Services」と、Javaアプリケーションの開発・実行環境「Java Services」もPaaSとして提供している。
オラクル最高経営責任者のラリー・エリソン氏
同社最高経営責任者(CEO)のLarry Ellison氏は、「クラウドアプリケーションのスイートの開発には、非常に時間がかかった。なぜならば(その前にアプリケーションを載せる)近代的なプラットフォームを作る必要があったからだ」と述べる。
さらに続けて「クラウドサービスを発表した最初の年(2011年)に発見したことがある——これだけではだめだ、ということだ。望まれているのはオンプレミスの代替案だ。SaaS、PaaS、IaaSのコンビネーションが必要なのだ」と強調、IaaS提供の背景を示した。
既存のアプリケーションをクラウドに移行させる際、サービスのラインアップにIaaSを持っていることは強みとなろう。Ellison氏は実際に顧客からIaaSを提供してほしいという要望を多数聞いたそうだ。
Oracle Cloudで提供されるIaaSは「従来型のコモディティ型のインフラではない」とEllison氏。「Exadata、Exalogic、Exalytics、そしてそれらすべてをInfiniBandでつないだ形で提供しよう」(Ellison氏)と述べている。
Oracle Cloudのプライベートクラウド版も用意
また今回、Oracle Cloudに「Oracle Private Cloud」を追加することも発表した。
Oracle Private Cloudは、サービス名の通り、Oracle Cloudのプライベートクラウド版といえる。顧客は自社のデータセンターにOracleのインフラを設置して、プライベートクラウド基盤として活用する。顧客に貸し出した機器はOracleが所有するが、運用管理、アップグレードもOracleが担う。Ellison氏は、「ファイアウォールの中でOracle Cloudを利用できる」と、そのメリットを強調した。
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Oracle Private Cloudでは、SaaSとして提供しているすべてのFusion Applicaitonsをプライベートクラウドとして展開可能なほか、カスタムアプリケーションやすべてのOracle製ソフトウェアを稼働させることもできる。また、Oracle DatabaseおよびFusion Middlewareも、このプライベートクラウド環境に対応しているという。
パブリックとプライベートの間でアプリケーションを行き来させることも可能であることから、Ellison氏は「本番のアプリケーションはプライベートクラウドで稼働させ、DRサイトとして(パブリックの)Oracle Cloudを使うこともできる」などと述べ、さまざまなユースケースも紹介している。
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今回、Oracleは最後のピースともいえるIaaSをクラウドサービスのラインアップに加えた。しかし、サービスの導入検討者にとってより重要なのはフルラインアップが揃ったことではなく、アプリケーション開発やクラウド基盤の相互運用性がどれだけ担保されているかだろう。
この点について、Ellison氏は「この20年の間、コンピュータ業界で学んだことを忘れてはいけない。それはスタンダード(標準)でなければいけないということだ」とコメント。アプリケーション開発でのJava、SQLデータベースの標準を謳うOracle Databaseなど、自社の技術がスタンダードであることを強調して、Oracle Cloudに関するアップデートの説明を終えている。
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