ソーシャルデータはビジネスをどう変えるか

Dion Hinchcliffe (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2012-11-21 07:30

 ソーシャルメディアのオープンさと透明性は、それを取り込むことさえできれば、組織に幅広い説得力のある成果をもたらしてくれるという話は、今ではよく聞かれる言説だ。ソーシャルメディアがこの時代のもっとも重要な現象の1つだということについては、ほとんど疑いがないが、ソーシャルメディアをめぐるこの手の主張は、少々行きすぎだと考えている人たちもいる。

 その一方で、説得力のある例の数は増えてきており、ソーシャルメディアでなければ不可能な、ユニークで極めて有用性の高い成果も出てきている。この話題にまだ詳しくない人のために説明すると、ソーシャルメディアのユニークさと力の一部は、ソーシャルメディアでは一般に、(ソーシャルネットワークやブログ、その他の形で)共有される情報が、公開を前提としているということだ。

 これは、従来の形のアナログおよびデジタルのコミュニケーションとは対照的だ。従来のコミュニケーションでは、対話に関わる相手について、電話番号や電子メールアドレス、その他の連絡情報など完全な知識を事前に持っている必要があった。その他の人間はコミュニケーションのプロセスからは自動的に疎外され、対話の内容そのものも関与しない人には不可視なことが多く、記録も再利用されずそのままになっていた。

ストリームグラフ

 この10年間のグローバルなオンライン実験で分かったことは、このモデルとはまったく対照的に、対話したい相手の正確な正体をはっきりさせ過ぎない方がよい場合も多いということだ。むしろ、自分の発言に価値を感じてくれる人が、自分の発言をたどって、向こうから自分を発見してくれた方がよいということが明らかになってきた(その典型的な方法としては、検索や友人または技術によるレコメンデーションが挙げられる)。これによって、偶然による発見や創発、オープンイノベーションが可能になり、このことが、正しい人たちが動的に集まり、興味深く有益な結果を生み出すことにつながっている。

 生み出される結果は、希望する誰もが参加することのできる、対話と情報の彩り豊かなタペストリーであり、誰もが後にそこから恩恵を受けることができる。

 また、(これは情報が非公開でコントロールされたものになりがちな業界の企業にとっては、大きな頭痛の種になる場合もあるが)ソーシャルメディアのコミュニケーションが公開を前提にしていることによって、古いコミュニケーションでは決して不可能だった(あるいは単に実現しようとしなかった)シナリオの実現が可能であることがわかった。それはどんなシナリオだろうか。もっとも重要かつ幅が広いシナリオは、ソーシャルメディア上で交わされているすべてのグローバルな対話をリアルタイムで捉え、それを分析するというものだ。そのような対話を観測すること自体は、しばらく前から可能になっているが、即時性を実現することは簡単ではなかった。同様に、効果的かつ意味のある分析を行うことも困難だ。

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