ソーシャルメディアをタイミングを外さずに分析することに関する難しさで、第1に挙げられるのは、規模の問題だ。特に、その分析を完全かつ正確なものにしようとすれば、この問題は難しくなる。世界には見るべき、そして関与すべき、何百というソーシャルネットワーク、何百万というブログ、そして無数のオンラインコミュニティやフォーラムがある。重要で、かつビジネスに関係のある対話は、ネットワークの遠い片隅で交わされているかも知れず、それを見逃せば、ゆくゆく手痛いしっぺ返しを受ける可能性もないとは言えない。Douglas Merrill氏が以前Harvard Business Reviewブログで述べていたように、データ分析を改善するのにもっとも価値ある方法の1つは、新たなシグナルを追加することだ。
このように、ソーシャルメディア上の対話の中にある、常に終わりなく流れる活動や洞察を真に捉えた全体像を描くことは、比較的新しい取り組みであり、HadoopやMahoutなどのいわゆる「ビッグデータ」テクノロジの台頭によってようやく可能になったことだ。
次に大きな問題は、ノイズの中から適切な意味を取り出すことだろう。なぜなら、ソーシャルメディアの形と内容は、比較的構造化されておらず形式も定まっていないからだ。さらに、写真に加え、動画や音声までも含むリッチメディアに満ちている。世界で15億人近くもの参加者がおり、彼らの言語も、文化も、慣習も、表現も異なることから本質的に生まれてくる多様性を考えれば、仮に十分な速度でその対話を処理することが可能だったとしても、そこから意味を汲み取ることが、大きな(そしておそらく非常に本質的な)挑戦であることは明らかだ。
しかし、実現しようとしていることによっては、それほど難しく考える必要はないかもしれない。ソーシャルメディアに耳を傾け、分析するだけで可能になることの説得力のある実例を集めてみると、ソーシャルメディアを戦略的に役立てるためには、必ずしも規模と意味の大海を煎じ詰める必要はないことがすぐに分かってくる。実際、最善の例のいくつかでは、比較的単純なデータセットを使い、それを例えば素直な地理的視覚化と組み合わせることによって、意味を導き出している。とは言え、より多くの情報を用い、より多くの分析を適用できれば、そこから得られる洞察はそれだけ正確で有益なものになる。
ソーシャルメディアの分析が、まだ初期の、発達段階にあることは明白だが、同様にその技術をわれわれの今日の生活や仕事に適用できれば、ビジネスでも公共面でも大いに役立つということもまた明らかだ。
注:前掲の図のストリームグラフは、Twitter StreamGraphsを使用して生成している。ストリームグラフは、時間とともに交わされた対話の形を視覚化する際によく使われる手法だ。このグラフは、米国時間11月7日午後の米ZDNetに関する1000件の最新ツイートを示している。これは、その期間に米ZDNetについて公に交わされた会話の中で、「Microsoft」「Skype」「mobile」がもっとも興味を引いた(あるいは少なくとも最大の)話題だったことを示している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。